2018年03月02日 1516号

【1516号主張 辺野古・南西諸島の基地止める 全国で沖縄連帯強めるとき】

辺野古反対が民意だ

 2月4日名護市長選で辺野古新基地建設反対を公約に掲げた稲嶺前市長が敗れた。この結果を受け、菅官房長官は「選挙は結果がすべて」と述べ、基地建設工事を加速することに意欲を示している。

 だが、新基地建設反対の民意が変わっていない。地元紙の出口調査でも「辺野古移設反対」は64・6%に上る。選挙中、渡具知(とぐち)陣営は辺野古の「へ」の字も言わず、公明党県本部と結んだ政策協定には「米海兵隊の県外・国外への移転」が明記されている。「県外・国外移転」を公約した渡具知新市長が辺野古反対の民意を全く無視することは簡単ではない。当選後も「私は辺野古容認ではない」と言わざるを得ず、13日の安倍・菅との面談でも建設推進を口にすることはできなかった。

立ちはだかるハードル

 安倍政権が名護市政「奪還」を契機に反基地運動への弾圧を強め、工事の既成事実化に拍車をかけようとすることは間違いない。メディアを使い、夏にも土砂を投入し本格的な埋め立て開始、と宣伝する。

 しかし、新基地反対の県民意思があり、あきらめることのない現地の闘いが続く限り、思惑通りには進まない。

 現在の工事進捗状況は、K9護岸の一部、K1護岸、N5護岸、と護岸工事全体の約6%にすぎない。この先も大きなハードルが立ちはだかる。
 まず、大浦湾の海底部の落ち込みは活断層であることが指摘されている。大浦湾の水深60b近い最深部での護岸工事は、ケーソン(大型コンクリート)を置く工法が採られている。ところが、琉球石灰岩は強度のばらつきが大きく所々に空洞が広がるため、ケーソン護岸工事は大幅な変更を強いられる可能性が高い。さらに埋め立てには大浦湾に流れ込む美謝(みじゃ)川の切り替えが必須だ。たとえ名護市長が美謝川の切り替えを認めても、護岸工事変更や美謝川の切り替えなどは設計概要変更申請が必要で、公有水面埋立法に基づく知事権限となる。許可がなければ工事は進まない。

 護岸工事に使用する石材25万立方メートルは陸上部から搬入となっている。これは大型ダンプ約6万5千台分という途方もない量で、毎日100台で休みなく運んでも2年近くを要する。現場の座り込みやカヌー隊の海上抗議行動は今も工事を確実に遅らせている。

 民意を背にした翁長(おなが)知事の毅然たる決断、現地と全国をむすぶ闘いの力で基地を止めることは可能だ。

改憲阻止の闘いとともに

 2月14日、翁長知事は沖縄県議会で「辺野古に新基地は造らせないことを県政運営の柱に、全力で取り組む」と改めて揺るがぬ決意を述べた。

 3月は基地建設をめぐる重要局面となる。3月11日陸上自衛隊配備の是非が最大争点の石垣市長選、13日沖縄県による辺野古工事差し止め訴訟の那覇地裁判決、14日には不当逮捕された山城博治さんら3人への同地裁判決が続く。

 今こそ新基地阻止の声を広げなければならない。辺野古現地に足を運ぶとともに、全国から沖縄との連帯を強める時だ。辺野古新基地阻止、南西諸島への自衛隊配備反対の闘いと、安倍の戦争・改憲路線と対決する3000万署名運動を固く結び、地域のすみずみに届けよう。

       (2月18日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS