2018年03月09日 1517号

【全交・広島がフィールドワーク 岩国基地強化の実態を見る 軍事緊張許さぬ闘いへ】

 全交・広島は2月17日、岩国基地フィールドワークを実施した。12月「東アジアを戦場にするな!全国スピーキングツアー広島集会」の際、韓国・沖縄のゲストと共に岩国を訪れて2か月。在日米軍再編の名の下に、厚木基地から空母艦載機の移転が完了する5月に向けて最終段階に入った岩国基地強化の実態を再度確認するのが目的だ。

 まず向かったのは愛宕山神社前広場。2000年前後から、「騒音と安全対策のため」を名目に岩国基地の沖合い移設が始まった。が、実態は面積が1・4倍、深さ13メートルの大岸壁を持つ巨大な基地への拡大強化だった。沖合移設に必要な埋め立てに使われたのが、この愛宕山を切り崩して出た土砂だった。工事と並行して進められた「愛宕山新住宅市街地建設計画」は途中で頓挫し、できた広大な開発跡地は借金もろとも防衛省が買い上げ、東半分には豪華な病院や消防署、スポーツ施設が、西半分には米軍住宅エリアが完成している。

 地元の住民で作る「愛宕山を守る会」は、2010年から辺野古の座り込みに習って抗議活動を始め、月2回(1日と11日)、この愛宕山神社前広場に集まっている。

 すぐ下にある米軍住宅エリアAtago Hillsへの入り口まで行ってみた。が、物々しいゲートで仕切られて米兵が見張り、市民は完全にシャットアウトだ。1戸8千万円、全戸、庭に地下シェルターが備えられているという新築262戸の住宅群は、市民からは見えないように巧妙な位置関係で建てられている。私たちは、わずかに見える地点まで車で移動して、何戸かの米軍住宅を確認することができた。

 50億円をかけて日本政府が建設し米軍に提供された「絆スタジアム」に入った。昨年完成したばかりの新設球場は、1時間の使用料わずか1200円。岩国市が制定したこの球場の管理条例には、「政治利用の禁止」条項がしっかり挿入されている。

 私たちは尾津一の谷団地頂上から基地の全景を一望した後、3年前、基地内にオープンした岩国錦帯橋空港へ移動した。2階の展望デッキも基地の内部は全く視界に入らないように設計され、写真撮影も禁止されている。基地の北側堤防から基地内を見渡すと、一昨年高知沖で墜落したFA18ホーネットの同型機が3機待機しているのが見えた。

 昼食をはさんだ感想交流会では、1月佐賀で起きた自衛隊ヘリ墜落事故への全交抗議声明を読み合わせ学習した。参加者からは「現場に足を運んで始めてわかることがある」「税金が湯水のように使われていることが実感できた」と感想が述べられた。

 東アジアの軍事的緊張を高める岩国基地の強化に反対し、改憲NO!3000万署名、日韓市民共同声明の賛同を広げたい。

(全交・広島 日南田成志)



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