2018年03月14日 1518号

【みる…よむ…サナテレビ(475)2018年3月3日配信 イラク平和テレビ局in Japan 露天商人の排除を許すな】

 イラクのバグダッド市当局は、「社会の腐敗との闘い」を口実に露天商人の排除を進めている。露天商人の多くは若者の失業者であり、その仕事と生活を奪ってしまう。2018年1月、サナテレビはこの問題についてバグダッド市民にインタビューを行った。

 最初に登場する年配の男性は政府のやり口に怒りを隠さない。「1970年代や80年代には社会保険制度もあり、大学を卒業すれば就職先が保障されていた」と言う。ところが、今のイラクでは特に若者が大量に失業している。

 衣服や下着などかつては国内で作られていたが、政府が公営企業を閉鎖し、安い外国製品を輸入している。仕事を奪われた多くの若者が路上で露天商をするようになった。ところが、政府当局はその商売道具を破壊し、排除している。

 男性は「これは、社会の貧困をなくすのではなく、貧しいというだけで裁判の被告席に連れて行く行為だ」と厳しく批判する。露天商の多くは大学を卒業した若者である。彼らを弾圧していることに「イラクの政治指導者こそが恥を知らなければならない」と厳しく非難する。

 インタビューに答える女性は「露天商に対して戦争をするのではなく、社会的腐敗に対して戦うべきだ」と主張する。弾圧を加えている当局が本当にやるべきことは、不正な利益を上げ、汚職を働く連中を取り締まることなのだ。

雇用と人権守れ

 こうしたイラクの若者の状況から、2011年、中東・北アフリカ民主主義革命のきっかけとなったチュニジアの若者が思い起こされる。その時も、学校を出ても就職先がなく露天商をしていた青年が政府当局に商売道具を取り上げられ、侮辱を受けたために自殺に追い込まれた。この事件がきっかけとなって市民が立ち上がり、独裁政権を倒した。

 サナテレビは、政府がイラクをグローバル資本の利潤追求の場にし、若者の大量失業を生み出している実態を暴く。そして、若者、労働者の雇用と人権を守る闘いを呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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