2018年03月21日 1519号

【東電・国に加害者の自覚なし かながわ訴訟 原告本人尋問 群馬訴訟 控訴審始まる】

 福島原発かながわ訴訟第26回口頭弁論が3月7日、横浜地裁で開かれ、原告7人が証言した。原告本人尋問は終了し、2018年度内に判決の見込みとなった。

 いわき市から避難した男性は、子どもに鼻血や皮膚疾患、抵抗力の低下、失語症状が起き、本人も鼻血・抜け毛・貧血、すい臓がん発見など健康不安を抱える。「住宅支援が打ち切られ、帰還も検討した。しかし、敷地内には放射線管理区域の100倍に相当する土壌汚染があり、食品による内部被曝を考えれば、感受性の強い子どもたちを連れて帰るわけにはいかない」

 続けて「文献をあさり、学んできた。チェルノブイリの報告からも様々な疾患につながる可能性はある。被告代理人は急性被曝、確定的影響について語るが、今は低線量領域が問題」。裁判官に向かい、「私たちは感情的にではなく、健康のために合理的に避難してきたことをわかってもらいたい」と述べた。

 浪江町から避難した女性の実家は、帰還困難区域から1`。夫は福島の会社を辞めて神奈川に来たが、会社の方針や人間関係に悩み軽度の精神障害に。「友人を失った。夫もつらく、私が相談できるのは子どもだけだった。コミュニティが崩壊し、お店も病院も機能していない浪江には戻れない」。裁判官に「友達を、元気な夫を返してください」と語り、絶句した。

 東京電力の代理人は別の原告男性に「20_Svシーベルト以下で健康影響は考えられない。帰還できないのか」と執拗に質問。男性が堪忍袋の緒を切らし、「そこまで言うなら安全だという証明をしてください」と迫る一幕もあった。裁判長は制止せず、東電代理人は気まずそうな表情で沈黙した。

 次回期日は5月18日。

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 全国の原発被害者集団訴訟で初の控訴審が始まった。3月8日、東京高裁で第1回口頭弁論があった群馬訴訟だ。意見陳述した原告は報告集会で、「東電・国に加害者の自覚はあるのか。絶対に負けるわけにいかない」と話した。


 関西電力・大飯原発3号機が3月14日にも再稼働強行という動きの11日、大阪ではさよなら原発関西アクションの約1000人が「再稼働やめて、核燃サイクル中止」を訴え、集会・デモ。翌12〜14日には、関電本店前で福井県・明通寺住職、中嶌哲演さんらが抗議のハンガーストライキ(断食闘争)に入った。
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