2018年04月13日 1522号

【日立の英国への原発輸出、公的資金投入に反対する/4・13抗議行動・政府交渉へ】

政府が1兆1千億円保証

 日立製作所が英国に原発を輸出しようとしている。日立傘下のホライズン社が英中部アングルシー島で進めるウィルヴァ原発計画だ。日本のメガバンク3行や国際協力銀行などが出資・融資計1兆4千億円を拠出し、融資分1兆1千億円について日本政府が日本貿易保険(NEXI)を通じて全額保証すると報じられている。

 「インドにもどこにも原発を売るな」と活動してきた「核武装国インドへの原発輸出に反対する市民ネットワーク」は3月20日、院内集会を開いた。

 2015年2月に英国の現地を訪問した菅(かん)元総理は「原子力で破たんした東芝の場合、子会社にしたウェスチングハウスは原発メーカーだったが、(日立の子会社)英ホライズンはメーカーではなく、電力会社なんですよ。なぜか。英国は電力比率で原発を一定の割合にしている。電力会社であればどこかに原発を発注するわけで、自分のところに発注させる。これが日立の作戦だ」と語った。

無謀な計画の阻止は可能

 原発は建設に10年。稼働するときには発電コストが再生可能エネルギーよりさらに高くなっているかもしれない。英国では、もしそうなっても政府が補填するという法律まで作って保護しようとしている(経産省談)。一方、日本側はどうか。政府系金融機関の国際協力銀行の融資、加えてNEXIの貿易保険により、失敗しても政府まる抱えで保証する仕組みを作る。途上国でもない英国への輸出に、事故が起きなくても、事業が遅れたり採算が合わなくなっても保証しようというのだ。

 原発メーカーには、日本で新たな原発はできないから、技術の継承のためには確実につくれるであろう英国で進めたいという理屈がある。しかし、こんなリスクのあることを日立はほんとうにやるのか。

 3月22日の読売新聞は「日立は英国政府からの一定の公的支援の確約を得られておらず、交渉が難航している」「2019年までに最終判断を下す」と報じた。無謀な計画を止められる余地はある。

 英国現地では、人口7万人の島で3000人の雇用を生むとして歓迎されているとの報道もある。しかし、これはどこの原発立地でも同じことだ。院内集会には、ウィルヴァ原発反対運動グループからビデオメッセージが届いた。

美しい島に原発いらない

 「美しい島に新たな原発はいらない。廃炉になった原発にはすでに高濃度の廃棄物が蓄積している。福島原発事故の悲劇が繰り返されるおそれがある。原発建設に一緒に反対してください。再生可能エネルギーの投資なら歓迎します」

 日立の中西会長は5月、経団連の次期会長に就任する。安倍政権5年で進む経産省支配。その軸の一つが、原発推進だ。国家まる抱えの原発輸出体制は許せない。昨年12月、日英政府は「資金支援」枠組みで合意し、書簡をかわしたと言われる。しかし、共産党の笠井議員の質問に世耕経産大臣は「存否も含めて明らかにできない」と答弁している。

 市民ネットワークは4月13日(金)、衆議院第一議員会館B1第1会議室にて13時45分より対政府交渉、15時より院内集会を計画している。同日11時からは日立本社(日本生命丸の内ビル)前で抗議行動を行う。

(コアネット[戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション] 山口兼男)



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