2018年04月20日 1523号

【沖縄 天皇訪沖を利用し自衛隊増強 暴かれた新基地共同使用 辺野古工事を止めよう】

爆音被害は過去最悪

 米軍・自衛隊のヘリコプターや戦闘機の事故、部品落下、緊急着陸などの事件が多発していることは、全国のメディアでも報道された。だが、米軍ジェット戦闘機の爆音・騒音被害が沖縄島中部の自治体が統計を取り始めた1991年度以降27年間で最悪の非常事態になっていることはほとんど知られていない。

 嘉手納町、沖縄市、北谷(ちゃたん)町でつくる「米軍嘉手納飛行場に関する3市町連絡協議会」は3月26日、騒音激化の事態を受け日米両関係機関に緊急抗議することを確認した。

 昨年11月以降、米軍嘉手納基地にFA18ホーネット戦闘攻撃機やF35Aステルス戦闘機などの外来機が暫定配備。電車が通過するガード下に匹敵する100デシベル超の騒音が複数回測定され、住民から「子どもが眠れない」「補聴器を付けた子どもが爆音で震えている」などの苦情が上がった。それが3月に入って急増。3市町とも前年度比5倍の1日150件以上、騒音への苦情が寄せられている。朝鮮半島情勢の展開で米韓合同軍事演習が朝鮮半島近海から沖縄近海に移され、県外の強襲揚陸艦が沖縄寄港していることが原因、と沖縄防衛局は挙げている。

天皇出迎える自衛隊員

 3月17日、キャンプ・シュワブゲートからのダンプカーやミキサー車の搬入が止まった。天皇と皇后が、退位を前に最後の沖縄「戦没者慰霊」として3月27〜29日に沖縄島と与那国島を訪問。17日から31日まで搬入は行われなかった。警備態勢を天皇警護優先にしたからだ。「辺野古の工事が止まるなら、毎日天皇は沖縄にいてもらったらいい」と現場から声があがる。

 県内2紙でも、天皇最後の訪沖に痛みに寄り添う≠ネどの報道がされ、評価が高い。しかし、73年前沖縄戦が始まった3月26日は慶良間諸島で強制集団死が起きた。今、この27日は、陸上自衛隊の司令部機能を統一する「陸上総隊」が発足し、「離島防衛」と称して日本版海兵隊の「水陸機動団」が新設されるなど陸自発足以来の組織改編となった日だ。同日夕刻、那覇市の国際通りでは、極右組織日本会議が事実上主催する「日の丸ちょうちん奉迎」が4千人で行われた。与那国島訪問の28日は、2年前に陸自の沿岸監視隊が配備された日にあたり、陸自隊員が道路沿いに勢ぞろいする「堵列」(とれつ)で天皇を出迎えた。

 戦争する国づくりをめざすグローバル資本主義は、天皇を利用して沖縄・南西諸島への自衛隊配備増強を進めようと蠢(うごめ)いている。

基地共同使用の文書改ざん

 3月30日、共産党の穀田恵二衆院議員の国会質問で南西諸島への自衛隊配備をめぐる重大な事実が明らかになった。「日米の『動的防衛協力』について」という自衛隊統合幕僚監部が作成した公文書の内容とその改ざんである。

 「動的防衛協力」文書には、陸自が今後、辺野古新基地を含むキャンプ・シュワブなど米軍基地を米軍と恒常的に共同使用する(当然、将来は自衛隊基地にする)ことが記されていた。これを削除、改ざんし、完全に封印しようとしていたのだ。安倍政権の狙いがあらためてあらわになった。

 イラク日報の組織的隠蔽も憲法違反の集団的自衛権行使に直結する重大問題だ。戦争路線推進に都合の悪いものは、すべて廃棄、削除、隠ぺいする。安倍隠ぺい・ねつ造政権は打倒しかない。

従えば金を出す

 辺野古では、すでに搬入された石材で新たなK3護岸などの工事を続けている。連日海上監視抗議船やカヌー隊が工事中止を訴えるが、防衛局はいっさい無視だ。過積載のダンプカーが毎日300台以上国道を通行するため、主な部分だけでも10か所、計450b以上にわたって損傷していることもわかった。

 3月13日、14日の不当判決後の23日、渡具知(とぐち)武豊名護市長は、辺野古新基地建設工事について「自治体の長として法令にのっとって対応する」と明言した。これを受け、国は稲嶺進前市長時代以後止まっていた米軍再編事業交付金を2017年度分から約15億円支給することを決めた。政府に従えば金を出す=B安倍政権は札束で頬を叩く卑劣なやり方を繰り返す。

 こうした中、4月23日から28日までの6日間、辺野古ゲート前に500人集まれば工事が止められると集中行動が呼びかけられている。不法な護岸工事が始まって1年、なんとか工事を止めたいと思う市民有志が動き始めた。沖縄平和市民連絡会も連日の500人参加で成功を支えることを確認した。何としても工事を止める試練の時だ。 (N)



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