2018年04月20日 1523号

【未来への責任(247)/植民地歴史博物館 オープン間近】

 3月20日、東京都内で「まもなく開館!『植民地歴史博物館』3・20集会」が開催された。当日、靖国神社無断合祀取り消しを求めるノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟のために来日した韓国の原告、弁護団も集会に参加した。

 植民地支配清算を置き去りにした1965年の日韓条約から50年目の2015年にスタートした「植民地歴史博物館」建設運動。日本での募金は、全国から800人以上、目標の2倍の1000万円を大きく越えることができた。この日も全国各地から顔も知らない出資者の方が多数かけつけた。

 昨年末、「植民地歴史博物館」が入るソウル市内のビルの購入手続きが完了し、設立母体の民族問題研究所が事務所や所蔵資料の移転を完了した。事務所スペースや収蔵庫はすでに改修や整理が進んでおり、建物の用途変更手続きが終われば、いよいよ展示スペースや交流スペースの工事に入る。工事には2か月かかり、早ければ5月末か6月初めにはオープンできる見通しだ。正式なオープンセレモニーは、韓国では「国恥日」と呼ばれている1910年の日韓併合の日、8月22日が予定されている。

 集会では、民族問題研究所資料室長の金丞垠(キムスンウン)さんがパワーポイントで、オープンまでのスケジュールや各フロアの構想など詳しく説明してくれた。

 簡単に各フロアを説明すると、1階にはカフェとミュージアムショップ、企画展示コーナーなどが入る。一角に小さいイベントスペースも設けられるとのことだ。一番広い2階はメインの展示スペースとなる。単なる展示だけではなく、植民地支配の時代を体験できるような工夫の企画を重視したいとのことだ。3階は民族問題研究所の事務所、4階は可動式書架が設置された収蔵庫だ。「慰安婦」問題の研究者である尹貞玉(ユンジョンオク)さんの寄贈資料など貴重な資料が多数収蔵される。書籍以外の収蔵品専用の収蔵庫もある。5階は太平洋戦争被害者補償推進協議会(推進協)の事務所や会議室が入る。50人規模の会議室もあり、ちょっとした講演会や記者会見もできる。

 説明を聞きながら、推進協が今日まで転々と拠点・事務所を変えながらも運動を続けてきたその歴史が思い出され、胸に迫るものがあった。共同代表の李煕子(イヒジャ)さんも同じ思いに違いない。推進協の事務所スペースは南山(ナムサン)タワーや龍山(ヨンサン)が一望できる一番眺望のいい位置にできるようだ。次回の裁判の打ち合わせはここで行うと思うと、ワクワクした。

 説明の最後に、民族問題研究所のスタッフが各フロアを案内する映像が上映された。スタッフの皆さんの笑顔が印象的だった。これから本格オープンまでに交流プログラムの企画やグッズの企画など設備以外にも多くの仕事が待っているが、それは「夢」のある仕事だ。植民地支配の克服は人類的課題である。植民地支配の歴史を学び交流できる博物館は世界でここだけ。日本からも多くの方が訪れ、活用してほしいと思う。

(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 山本直好)



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