2018年04月20日 1523号
【放射性粒子セシウムボール/福島原発事故で東京にも飛散/懸念される内部被ばく】
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福島原発事故で関東地方にも飛散したセシウムボールによる内部被ばくが懸念されている。
原子炉が爆発した際、放射能が配管等のガラス状の素材に包まれて飛散し、冷えたあとに球状の形態で固まったものといわれる。茨城県つくば市では2011年3月14日からの調査で、大きい粒子で2・6μmのものが発見され、多くはより小さいもので肺に達する大きさであったと推測された。粒子が小さいため空気中を浮遊し、呼吸を通して体内に取り込まれる。水溶性のセシウムとは違い不溶性で、肺の奥にとどまり放射線を発し続ける。
ICRP(国際放射線防護委員会)の試算では、同じ量を肺に吸い込むと、被ばく線量は水溶性より不溶性が1歳児で180倍、成人で70倍ほど高くなることが報告されている。水溶性は血液や体内に溶けて全身を巡り体外に排出されるが、不溶性は臓器の一部に付着するからだ。不溶性の場合、生物学的半減期は当てはまらない。
原子力規制委員会検討チーム参画の森口祐一東大大学院教授は「飛程は短いが半減期の長い“アルファ線”を出す放射性粒子が臓器にくっついた場合(の内部被ばく)が懸念されてきた。(しかし)数センチしか放射線が飛ばず、ピンポイントで放射線が当たった細胞だけ死滅するため“がん化”は少ない…セシウムが発する“ベータ線”は飛程が長い。一定範囲の細胞に放射線が当たり続けることで、ある範囲の複数の細胞への影響が問題視されている」(『ママレボ』2018年4月号)。それでも人間の体には抵抗力があり、異変にはつながらないだろうという見方もあるが、「軽々に結論づける問題ではないので、今後しっかり見極めていく必要がある」(同上)と述べている。
3月31日都内で開かれた避難者団体主催の講演会で、元・京都大学工学研究科教務職員の河野益近さんは訴えた。「事故直後の鼻血の原因はセシウムボールで説明がつく。セシウムボールは重いものは気管支あたりに、軽いものは肺の奥に溜(た)まる。含まれる放射性物質はセシウムだけではない。付着した建築資材などの焼却や山火事、沈着した土壌からも風で巻き上がって空気中を浮遊する危険性は今でもある」。呼吸によって肺に取り込んだ場合の影響を評価する方法が確立していない、としつつ「被ばくによる影響(セシウムボールによる影響を含む)は必ず誰かに現れる。大半の人には現れないだろうが、被ばくした誰かに確率論的に現れる」と指摘した。
参加者の「マスクの効果はあるか」の質問に、「少ないが、着用するマスクにセシウムボールが付着していた例もあるので、つけたほうがいい」と答えた。
避難指示解除区域への帰還が強要されているが、高い空間線量による外部被ばくだけでなく、汚染された土壌、除染されていない山からも飛散するセシウムボールによる内部被ばくを問題にしなければならない。関東地方も例外ではない。
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