2018年04月27日 1524号

【非国民がやってきた!(280) 土人の時代(31)】

 2018年2月16日、照屋寛徳・衆議院議員は、国政調査権に基づいて、「琉球人遺骨の返還等に関する質問主意書」を衆議院に提出しました。1月27日に琉球大学で開催された東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会の声明「琉球人・アイヌ遺骨返還問題にみる植民地主義に抗議する声明文」(前回本欄で紹介済み)を引用した上での質問です。

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1 金関氏によって百按司(むむじゃな)墓地から持ち出された琉球人遺骨が、京都大学総合博物館に所蔵されていることを政府が把握したのはいつか、把握するに至った経緯と併せて見解を明らかにされたい。

2 政府は、金関氏によって百按司墓地から持ち出され、現在まで京都大学総合博物館に所蔵されている琉球人遺骨について、沖縄県教育委員会や今帰仁村教育委員会をはじめ、多くの関係者や研究者らが一日も早い返還と再埋葬を強く願っていることを承知しているか。右琉球人遺骨の返還と再埋葬に対する政府の見解と併せて明らかにされたい。

3 百按司墓地の他に、金関氏によって沖縄県内から持ち出された琉球人遺骨が京都大学総合博物館に所蔵されているか否かについて政府として把握しているか。把握しているのであれば、当該琉球人遺骨について政府の知るところを詳細に説明されたい。

4 私が昨年9月15日付で受領した京都大学の回答によると、同大学総合博物館に所蔵されている琉球人遺骨は「プラスチック製の直方体の箱」に収納されているという。そのサイズ等について政府の承知しているところを明らかにされたい。また、かかる保管方法は、ご遺骨とご遺族の尊厳を深く傷つけるものであり、不適切だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

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 以上が照屋議員の質問です。金関氏とは、墓暴きの中心人物であった金関丈夫(京都帝国大学助教授・当時)のことです。

 2018年2月27日、これに対して安倍晋三首相名義で「衆議院議員照屋寛徳君提出琉球人遺骨の返還等に関する質問に対する答弁書」が提出されました。

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1 御指摘の「琉球民俗誌」において「沖縄県今帰仁村にある「百按司墓」・・・から持ち出した」旨が記述されている「遺骨」(以下「当該遺骨」という。)が京都大学総合博物館に所蔵されていることについては、平成29年8月29日に文部科学省から京都大学に対して当該遺骨に関する照会をし、同年9月13日に同大学から回答(以下「当該回答」という。)を得て把握した。

2 お尋ねの当該遺骨について「多くの関係者や研究者らが一日も早い返還と再埋葬を強く願っていること」について承知しておらず、お尋ねの当該遺骨の「返還と再埋葬に対する政府の見解」についてお答えすることは困難である。

3 お尋ねについては把握していない。

4 お尋ねの「プラスチック製の直方体の箱」の大きさについては承知していないが、当該回答により、当該遺骨については、京都大学総合博物館の収蔵室において温湿度が一定に保たれて保管されていると承知している。また、後段のお尋ねは、同大学における当該遺骨の保管の在り方に関するものであるところ、これについては、同大学において適切に判断すべきものと考えており、政府としてお答えする立場にない。

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 問題をあくまでも京都大学にとどめて、日本国の植民地主義には目を塞ぐ回答です。
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