2018年04月27日 1524号

【日立は英国に原発を輸出するな 市民ネットワークが院内集会 抗議行動 政府交渉も】

 日立製作所は、買収した子会社を通して原子炉2基を英国ウェールズ地方アングルシー島に新設し、2020年代半ばまでの稼働開始をめざしている。

 「核武装国インドへの原発輸出に反対する市民ネットワーク」は4月13日、原発輸出と公的資金投入に反対し、日立本社前抗議行動と政府交渉、院内集会に取り組んだ。政府交渉には内閣府・外務省・資源エネルギー庁の職員が出席したが、“写真撮影禁止”“新聞記事にしない”“勉強会的なもの”といった高圧的な態度だった。

 院内集会で岐阜女子大学南アジア研究センターのii正明さんは「最大の問題は国による出資と全額保証だ」と指摘する。昨年12月、日英両政府は資金支援枠組みに合意し、「書簡」を交わしたと報じられた(1/3毎日)。総額3兆円事業で融資は日英折半、日本側1兆1千億円は国際協力銀行とメガバンク3行で分担、民間負担分を政府出資の日本貿易保険(NEXI)が全額債務保証、というものだ。

 国会で笠井亮衆院議員(共産党)が「書簡には資金面の協力内容が取り決められているのでは」と質問したのに対し、世耕弘成経済産業相は「外交上のやりとりに関わるので、文書の存否を含めて答えを控える」と隠蔽している。iiさんは「今日の政府交渉でも同様の回答だった。世界各地の原発建設は工事の遅延や政府の政策転換、住民の反対などリスクが格段に大きく、当初計画通りに稼働する原発はほとんどない。原発メーカーの責任を問わず、国民の金が民間企業の利益追求事業に利用され、失敗すれば穴埋めするのは許せない」と訴えた。

 集会には立憲民主党・共産党の議員が参加。菅直人衆院議員(立憲民主党)は「事業はリスクが大きい。もし失敗したらどうなるのか。結局国民の税金で穴埋めすることになるのではないか」と批判した。

英国で反原発同盟結成

 輸出原発の安全確認は検討会議で行われるが、iiさんは「会議構成員に『原子力専門家』がいないことが政府交渉でも明らかになった。何が審査できるというのか」と危惧する。今後の方向性について「日立の中西宏明会長が次期経団連会長となっても、原発稼働のリスクは高すぎて安易に踏み込めないのが現実。ヒロシマ・ナガサキの被爆者たちの体験が核兵器禁止条約を作り出した。福島は事故から7年経ったが、被害は拡大し、虚構の復興。そんな日本から原発輸出を許してよいものか。福島原発刑事訴訟や原発メーカー訴訟などと連携し、メーカー責任を追及する闘いにしたい」と述べた。

 英国側は、人口7万人の島で3000人の雇用が生まれ、過疎化を防ぎ、地域の文化を守れるといった理由で建設強行を図る。しかし、現地では院内集会とほぼ同じ時間帯に4つの住民団体がまとまって「ウェールズにおける反原発同盟(WANA)」が結成される。院内集会参加者は、激励・連帯しようと記念の集合写真を撮り、現地集会に送ることとした。

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