2018年05月04日・11日 1525号

【5・12「月桃の花」歌舞団『ガマ人間あらわる』福島公演 初のキャストで自分を見つめ直す】

 5月12日、フクシマとオキナワをつなぐミュージカル『ガマ人間あらわる』が行われる。主要キャストの一人として初めて舞台に立つメンバーの思いと呼びかけが寄せられた。

 私は福島公演でキャスト・剛(たけし)に挑戦する。剛は、追い出し部屋で解雇された正社員だ。見どころの一つは、追い出し部屋で主役の経営コンサルタントの派遣社員、素直が剛にリストラを迫る緊迫のシーン。

 私が歌舞団に入団したのは2年前。大学卒業間近、友達に誘われた公開稽古で知った『ガマ人間あらわる』。その場で剛役を指名されて、ぎこちなくも台本を見ながらやってみた。それが、生まれて初めての役者経験だった。

 今回の公演では、自ら剛役を希望した。住民役を演じる中で、私も主要キャストをやりたいという思いが強くなった。初めての剛役。セリフの多さに正直驚いた。辛かったのが、セリフがなかなか覚えられなかったことだ。稽古中、私のせいで何度も止まって大変迷惑をかけた。覚えなきゃと思っても、覚えられないジレンマ。やっぱり、向いていないのかなと落ち込んだ。

 そんな時、歌舞団の一人ひとりがセリフ覚えの特訓に付き合ってくれた。とてもうれしかった。「演じるのではない。体をただ動かすのではない。感情だ」。感情を出す?! 自分が一番苦手なのが、豊かな感情表現だ。しかし、演出の原さんの指導のお陰で、日常生活、介護職場での経験で出した感情を思い出す方法を知った。私が意識したのは、演じることでなく、場面、剛の境遇を意識した感情表現だ。感情を出すことに抵抗があった私であったが、稽古を通して、自分を見つめ直す中で次第にほぐれてきた。

 3月25日の福島公開リハーサルでは、25名の観客が来場した。ストリートライブでチラシをもらったという女性は「あまり、社会問題のことって考えてこなかったけど、この公演を観た私はけっこうガマにはまった人生にいるかもしれないと思った。抜け出せなくても、ちゃんと生きてガマの中で花でも咲かそう」と感想を寄せた。ある女性は、福島にとどまらざるをえなかった沙織を見て、「娘にも見せてあげたい」と涙を流して話してくれた。

ストリートライブに反響

 公演にむけて、毎週福島駅前でストリートライブを開催し広げている。チケットが売れたり、憲法違反のアベはクビ≠ニいうプラカードに「これ、賛成です」と声をかけられたりと反響は大きい。また、平日の休みを利用して、福島現地実行委員と一緒に組合やユニオン、高校演劇部、マスコミも回り、チラシとチケットを預けた。

 本番に向けさらに稽古を重ね、福島での宣伝活動にもより力を入れる。満席の会場の舞台で、剛を通して不当解雇や過労など問題山積の現状の労働環境にも一石を投じたい。

(東京・「月桃の花」歌舞団・竹内雄紀)

◆福島公演 5月12日(土)午後2時開演 とうほう・みんなの文化センター 問合せ info@gkabudan.jp

◆公演賛同金のご協力を 
1口2000円 郵便振替 00140-8-166822 「月桃の花」歌舞団

 
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