2018年05月04日・11日 1525号

【みるよむ(482)2018年4月21日配信 イラク平和テレビ局in Japan 2017−2018年 韓国・星州(ソンジュ)郡ソソンリTHAAD(サード)反対闘争】

 韓国政府と国防部は、慶尚北道(キョンサンプクト)の星州(ソンジュ)郡にTHAAD(サード)高高度防衛ミサイルシステム)の導入を強行してきた。「朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核ミサイルに対抗するため」というのがその口実だが、実際の狙いは、中国に対する日米韓の核戦力の軍事的優位を確保することだ。

 自分たちの土地が核戦争の最前線にされかねない、と星州郡ソソンリで住民たちがTHAAD反対闘争に立ち上がった。今回の映像は、韓国の代案文化連帯の提供による2017年から2018年にかけてのTHAAD反対闘争映像の日本語字幕版である。

 映像の初めに、ソソンリの情景が映し出される。水田で稲が豊かに実り、人びとが農業にいそしんでいる。星州郡は韓国のマクワウリ生産の70%を占める大産地でもある。日本でもよく見かける農村地域だ。

 こんな農村に突然降りかかってきたのがTHAADの配備だ。2017年4月26日、朴槿惠(パククネ)前大統領が弾劾・罷免された直後の大統領選挙の最中に、韓国政府は4000人以上の警察隊を投入し中心装備であるレーダーと車両型交戦統制所、発射台などを星州ゴルフ場に搬入させた。警察のやり口は、素手で抵抗する住民・市民を「暴圧連行」するものだった。右翼団体が乱入して「左派アカども殺せ!」と叫ぶ。

 さらに、THAAD配備について「公論化(見直し)および再検討」を公約して当選した文在寅(ムンジェイン)大統領は、9月6日から7日にかけて8000人の警察隊を動員し、THAAD発射台4機を強行搬入した。「北朝鮮が…核の挑発を続け、核を高度化していくなら、THAAD配備が避けられない」と態度を転換した。

辺野古と同じ光景

 沖縄辺野古の基地建設に反対する市民を大量の警官を動員して弾圧しているのとまったく同じ光景が展開されている。しかし、星州郡住民は「THAADがこの朝鮮半島から撤去される日まで、最後まで闘う」とはっきりと宣言した。

 2018年4月12日、国防部は星州郡のTHAAD基地に追加工事装備を搬入しようとして3000人の警察官を投入。住民は身を挺して阻止行動に立ち上がった。文在寅政権は、朝鮮の金正恩(キムジョンウン)政権と朝鮮半島非核化交渉を進めるその最中にTHAAD基地を増強しようとしている。

 闘いは続いている。星州郡におけるTHAAD反対闘争で。そして、日本でも、憲法9条改悪や辺野古新基地建設によって戦争体制を強めようとする安倍政権に対する闘いで。今こそ日韓市民が連帯した戦争阻止の闘いを進めたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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