2018年06月01日 1528号

【THAAD(サード)配置反対金泉(キムチョン)市民対策委員会企画チーム長 キム・ジョンヒさんの話(要旨)】

 私は2人の子どもを持つ平凡な母親。THAAD配備が発表された日から631日間、平和に暮らしたいと願う人びとと一緒に闘っている。自分のいるところから平和をつくっていきたい。

 「これが国だ」を合言葉に1600万人が参加したろうそく集会。私も何度かその場にいて、体が震えた。ろうそく革命の力で文在寅(ムンジェイン)大統領が誕生したが、THAADの地に平和は来ていない。THAADを撤去させるのは、文在寅政権ではなく、2年間闘ってきた私たち自身だ。

 THAAD配備は最初から最後まで不法だ。「北朝鮮の核の脅威に対抗する」というが、3〜5分で飛来するミサイルの迎撃が不可能であることは専門家も認めている。THAADは、京都や沖縄、グアム、ハワイのXバンドレーダーとともに、東アジアの覇権を維持するためのアメリカのミサイル防衛体制の一環であり、北朝鮮・中国・ロシアに対抗する韓米日の新冷戦時代の“種”をまくものだ。

 配備の過程も問題がある。国会の批准を受けていない。国防相も外相も配備を知らなかった。ロッキード・マーチン社と朴槿恵(パククネ)政権当時の金寛鎮(キムグァンジン)国家安保室長、朴槿恵の親友・崔順実(チェスンシル)らが密室で協議したとしか考えられない。

 配備地の星州(ソンジュ)ソソンリは山の中の小さな村。THAADのような兵器は似合わない。住民の日常の平和が破壊された。大勢の警察が村を取り囲み、至るところで検問していて、住む人たちのトラウマになっている。90歳のおばあさんが3日間、姿を見せなかった。「(日帝植民地時代の)“巡査”を思い出し、怖くて家を出られなかった」という。夢で警察の足音が聞こえ、飛び起きた人もいる。

 国のやることに従順な人びとだが、朝鮮戦争の記憶を持つお年寄りも多い。戦争を引き起こす兵器の配備に、忘れていた記憶がよみがえる。これからの世代のために、朝鮮戦争の悲劇を二度と繰り返してはならない。住民は誰かに指示されたのではなく、自らの意思で、住民合意のない配備に抗議して行動を起こす。互いの袖に鉄のパイプを通して腕をつなぎ、抵抗した。

 朝鮮半島には確かに春が来た。私たちは「THAADもなくなる」と期待したが、そのような話はひと言もない。ソソンリは今も冬だ。

 しかし、私たちは諦めずに闘う。THAADは私たちの日常を無残に破壊する兵器。戦争につながる“種”は一つも残してはいけない。631日の闘いで完全な配備阻止はできていないが、韓国・日本・世界のさまざまな運動との連帯により、THAADはまだ運用ができない状態にある。

 安倍政権が憲法を変え、戦争できる国をめざしていることを知っている。私は絶対に平和憲法を壊してはいけないと思う。韓国と日本、世界の平和を求める闘いが広がり、戦争の“種”を残さず平和の花が咲くことを願っている。

 私は数十年間、自分の平和だけを考えて過ごしてきた。それは他人の努力で成し遂げられた平和だった。今後は、自分の力で平和をつくっていきたい。大切な時間をTHAAD撤去のために使いたい。平和への道を最後まで一緒に歩きましょう。ヘイワ!

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