2018年06月08日 1529号

【サードは出ていけ、平和よ来い ZENKOスピーキングツアー 韓国現地の市民が訴える】

 5月27日、日韓連帯スピーキングツアー大阪集会で、韓国星州(ソンジュ)でTHAAD(サード)(高高度防衛ミサイル)基地建設に反対する2人の市民が報告した。要旨を紹介する。《4・5面に関連記事》


カン・ヒョンウクさん 平和の手をつなぐ 円仏教聖地守護非常対策委員

 2012年、軍事独裁政権の娘が大統領に当選した。独裁者の御姫様は権力を私物化し、私腹を肥やすことしかせず、人びとを弾圧した。

 16年10月29日に始まるロウソクデモはその後5か月間で1600万人が参加し、独裁者を引きずり下ろした。人口4500万人の3分の1。朴槿恵(パククネ)退陣を求める世論は78%にもなる。

 だが、私たちが生み出した政権でさえ、米軍サード配備を不法に進めている。なぜか。

 サードは朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核ミサイルに対抗するためではない。発射から3〜5分で到達するため迎撃が間に合わない。米議会報告、国防部レポートも認めている。韓国のための武器ではなく、米国のためのもの。

新冷戦時代の種子

 それは朝中ロ対韓米日の対決の構図を固めるための政治的戦略兵器だ。日本のXバンドレーダー(注)で朝中ロの監視は十分だが、韓米日軍事同盟という立場を強制するためのものだからだ。米国の安全保障のためのサードで、破壊されるのは住民の日常的な平和だ。

 この兵器の配備はいつ決まったのか。朴大統領の弾劾決議後の17年1月8日、憲法裁判所弾劾審判決定後の3月15日、国家安全保障室長が訪米してサード配備を進めることを請け負ってくる。4月26日、搬入強行されるが完全阻止した。5月9日の大統領選挙まで毎日150人が常駐し、完全にくいとめた。

 星州は円仏教の聖地。2代目教祖の生誕地。円仏教は仏教の宗派ではないが、仏法に通じるすべての存在を敬う教え。痛みの現場に寄り添うことが大切。民衆の痛みを共にできることに感謝している。

 ロウソク革命後、多くの変化がある。朝鮮半島に春が来ている。だがソソンリは冬のまま。4月27日、南北会談を祝うつもりでいた。平和の話をしながら武器を配備するなど理解できない。武器で平和はできない。武器がつくるのは戦争だけだ。

 それでも、文寅在(ムンジェイン)がサード撤去を宣言できる最後の人。国民の後押しがあって初めてできる。私たちが選んだ大統領を支持し、最後まで撤去を訴えていく。平和の情勢は国民がつくるもの。政権への支持がなければ北へも行けなかった。

ともに平和を

 一昨日、トランプの一言で朝鮮半島がぐらついた。心臓が落ちるかと思った。朝鮮半島の問題がなぜ他国の大統領の一言で左右されなければならないのか。昨日文寅在大統領が2回目の南北会談を行った。朝鮮半島の当事者は我々だというアピール。賢明な行動だ。平和は対話・出会いによって得られる。武器は、お前が死に、俺が生き残る極端なもの。平和ではない。

 戦争の種子(たね)を残してはいけない。種子があればいつか芽が出てしまう。武器をなくさなければならない。特に他の国に置いてある米国の武器をなくさなければならない。東アジアのサードをはじめ米軍基地を撤廃させなければならない。その力は私たちの連帯の中にある。始まりも終わりも連帯あるのみ。ともに行こう。平和の道を。

(注)米軍のミサイル防衛用レーダー。解像度を上げるため短波長を使用。強力な電磁波による健康被害が出ている。京都府経ケ岬、青森県車力に設置されている。

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