2018年06月08日 1529号

【「月桃の花」歌舞団 ガマ人間あらわる 「生きることの大切さ学ぶ」 出会いは街頭からも 福島】

2回目の福島公演 世の中を問い続ける

 「月桃の花」歌舞団によるフクシマ・オキナワとつながる希望のミュージカルコメディ『ガマ人間あらわる』が5月12日、福島市のとうほう・みんなの文化センターで上演されました。福島公演は2回目です。当日は天候に恵まれて約70名のお客様をお迎えし、盛況のうちに終えることができました。歌舞団の皆様、サポーターの皆様、そして応援して下さった皆様、誠にありがとうございました。

 さて、3・11の震災から7年が経ちました。除染という公共事業も手付かずや除染しきれない所も多く残したまま終了し、原発の再稼働の話題に移りつつあります。現在も日本は原子力緊急事態宣言が発令中で、原子力災害対策特別措置法に基づく内閣総理大臣から県知事に対しての指示が今も静岡県以北のほとんどの県に出されています。

 結局、国や自治体は災害が起きた時には、天災であれ人災であれ自身を顧みないで行動する人にすがるしかなく、今では、国はこうすると書かれた法律はないと言い放っています。南海トラフ地震の想定が進む中、今回の対応が前例とされるのは間違いないと思います。

 なぜ今の世の中がそうなっているのか。沖縄と福島のそれぞれの問題の共通点を整理することが、整理する一つの方法だと思います。また、私たちは自治体の良心にすがるのではなく、ボランティアの力を当てにするのではなく、自らの力を蓄える必要に迫られていると感じています。

 最後に、「沖縄」と「福島」は「XX国」と「日本」など様々な言葉に置き換えて考えることもできます。「日本」が国際連合憲章の「敵国」のまま世界から放棄される事態になりませんように。

(福島公演実行委員長・岡崎仁)

ストリートライブで つながりを作る

 福島公演の宣伝で力を入れたのは、福島駅前でのストリートライブです。昨年11月から計25回、のべ115人が参加しました。3月以降は毎週行い、当日清算券付きちらしを約4千枚配布。エイサーを踊って、その場でチケットが1枚売れたり、高校生から握手を求められたり、差し入れをもらったり。ヤンバルクイナ帽子が大人気で子どもたちも集まってきました。

 パネルを6枚作成し、福島駅前を「ガマ人間」ワールドにして、大宣伝することができました。また、中学生や高校生がエイサー太鼓を一緒に叩いたり、中学生が何人か路上に座り込んで「アンコール」と声をかけてくれたりして、参加型のストリートライブができたことも特徴です。

 今回、分かったのは、路上で原発事故後の福島のこと、健康の不安の話を聞かせてくれた方が、公演を観に来ていることです。街頭でつながりを作れた方がステージを観に来てくれ、ステージを見てつながりを深めていく、これが歌舞団公演の一つのスタイルではないかと思いました。ステージで演じるだけでなく、ストリートライブからステージが始まっている。そう実感しました。この成果を千葉・浦安公演(9月23日)や今後の全国巡回公演の宣伝活動にもぜひ生かしていきたいです。

 当日は高校生や大学生も参加し、「福島でも沖縄でも過去に苦難を抱えていて生きているだけで辛いことがあったんだなと感じました。しかし同時に生きることの大切さを学ぶことができました。このステージを他の地域でもたくさん公演していただけたらうれしいです」(高校生)とアンケート感想も。ユース交流会では、小学校2年生のときに震災にあった高校生が「私も学校であの(甲状腺)検査をしたことがあって、されるたびに、小学生でしたが、原発事故をよく意識していました」と話してくれました。

 一番うれしかったことは、公演終了後、福島のОさんが「関東歌舞団に入ります」と浦安公演への出演も表明してくれたことです。Оさんは、福島でも歌舞団員を増やしたいと意気込んでいます。福島でも全国でも歌舞団員を増やしていきたいです。

(「月桃の花」歌舞団・神子幸恵)



 
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