2018年06月08日 1529号

【たんぽぽのように(1)李真革(イジンヒョク) 4.27板門店宣言、それ以降】

 去る4月27日、朝鮮半島の北と南の代表が、戦争と分断の象徴である板門店(パンムンジョム)で会った。世界中が生中継を見守る中、「板門店宣言」が発表された。

 すぐにでも戦争が起きそうだった状況で、北側は平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックに選手団と応援団を送り、ついに権力を世襲した最高指導者が軍事境界線を歩いて越えた。このドラマチックなことは、すべて2018年のわずか4か月の間に行われた。

 そして、「4・27板門店宣言」を通じて、停戦協定の平和協定への転換、朝鮮半島での恒久的な平和体制構築と非核化に大きな進展があった。平和協定の締結と朝鮮半島の非核化が「4・27板門店宣言」の中核であり、その実質的な解決は、なお紆余(うよ)曲折が予想されるが、朝米首脳会談にかかっている。

 4月27日に行われたことについて、米国をはじめ、朝鮮半島をめぐる多くの国が歓迎の意を表したが、ただ一つの国はそうしなかった。北のミサイル発射と核開発に敏感に反応し、Jアラートを鳴らしてきた日本だ。もはや騒々しく警報を鳴らさず、避難訓練をする必要もなくなるのであれば、当然喜ぶべきことではないか。日本政府とメディアの反応は、私の想像を超えていた。かれらは、朝鮮半島と東アジアでの対決構図と戦争の雰囲気がこれからも必要なのだろうか。残念ながらそう思わざるをえない。蚊帳の外で露骨に本音を表しているのは、日本の右派勢力とメディアだ。

 北が米国との交渉で、関係正常化や不可侵の条約等、彼らがずっと求めてきたものが実現されるまでは、朝鮮半島の完全な非核化は可能ではない。

 朝鮮半島、南と北の2国内部をのぞいてみると、あまりにも多くの問題があるだろう。しかし、一度対立と戦争挑発を停止し、平和を語ろうと思いを一つにしたことが何よりも重要である。南北首脳会談と朝米首脳会談は、日本と中国を含むアジア、全世界とつながっている。

 難しいことだが、今こそ南と北、そして日本の民衆が、どのような平和、将来を作っていくか、一緒に知恵を出し、手をとらなければならない時である。

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 『タンポポのように』は、1990年代初頭、詩人であり、南韓社会主義労働者同盟の活動家であったパク・ノヘの詩で、筆者の好きな民衆歌謡の一つ。「♪特別な存在ではないけれど、決して輝いてないけれど/ありふれている野草と咲き乱れるタンポポ/ああ タンポポ 熱い胸 千百の花の種になって/ああ 解放の春を呼んでいる タンポポの闘魂で」

 多くの民衆と人民をタンポポにたとえた歌詞のように、より良い世界を作るために闘うすべての人びととともにとの思いを込めて、連載を始めたい。

(筆者は市民活動家、大阪在住)
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