2018年06月15日 1530号

【みるよむ(485) 2018年6月2日配信 イラク平和テレビ局in Japan ―日韓市民の連帯で原発をなくそう 韓国・月城(ウォルソン)原発反対運動との交流】

 2018年5月、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)の韓国訪問団は、慶尚北道(キョンサンプクド)月城(ウォルソン)原発反対運動を進める地域住民を訪れた。今回の映像は、その交流と慶州(キョンジュ)の脱核デモを中心に伝えている。

 2016年9月、韓国南部で気象庁観測以来最大規模というM5・8の地震が起こり、震源地から27kmの月城原発の全原子炉は一時停止された。大地震がほとんどないとされていた韓国の原発は、地震などの安全対策がとられていない。福島原発事故の再現とならなかったのは偶然の幸運といっていい。

 月城原発は約30年の稼働で放射性物質を周辺にまき散らし、がん患者が続出している。そんな原発からわずか600bの砂浜と海岸が何とキャンプ場なのだ。

 撮影した5月5日は韓国でも休日。キャンプ客の自家用車が何十台も並び、多数の親子連れが泊りがけで来ていた。原子炉の目の前の「きれいな」砂浜で人びとが魚を釣り、幼児が砂遊びをしている。

 「制限区域 出入り禁止」の看板の近くに警察官もいるが、原発建屋の敷地に近づいても何の注意もしない。まるで原発はこんなに安全なのだとデモンストレーションしているようだ。警告看板の後ろには韓国軍基地がある。軍隊が原発反対の市民を監視している。

 韓国は原発輸出政策を強力に推進している。UAE(アラブ首長国連邦)で建設した原発の完成式に文在寅大統領が出席し、韓国政府はUAE軍の訓練を名目に韓国軍を派兵している。有事の際に軍事介入するという秘密協定付きだ。原発輸出と海外派兵がセットという、まるで安倍政権の原発輸出、海外派兵の先例のような光景だ。原発とその利権を守るための海外派兵の出発点を、月城原発で見ることになったのである。

放射能被害と闘う

 月城原発で、放射能被害を受けながら闘っている人たちがいる。原発から915bの所に住み、甲状腺がんを発症したファン・ブンヒさん(移住対策委員会副委員長)は、原発を許さない闘いと放射能被害地域からの避難の権利を認めさせる闘いを話した。ファンさんは「日本で情報があれば教えてもらいたい。私たちもいろんな情報を日本にお伝えしたい」と日本の市民に連帯を呼びかける。

 訪問団は月城原発から35kmの慶州の脱核市民デモに合流した。古い遺跡が多数ある慶州中心部を練り歩き、繁華街で集会を開いた。反原発の活動を進めるキム・イクチュンさんが「原子力は独裁者と一緒になるもの。反対に、民主主義とは脱原発と共に進むもの」と、日本の民主主義をめざす闘いに連帯を訴えた。

 原発反対でも、安倍政権打倒でも、日韓の闘う市民の連帯の重要さを伝える映像である。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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