2018年06月22日 1531号

【7月シンポ・ZENKOに向け なかまユニオンが訪韓 ソウル市労働者らと交流】

 なかまユニオン、首都圏なかまユニオンは7月、ソウル市の労働政策担当官やソウル市関連コールセンターの労働組合、韓国青年ユニオンを招いたシンポジウムや交流会(7/14東京、7/16大阪、7/29ZENKO<平和と民主主義をめざす全国交歓会>in大阪)を企画しています。その打ち合わせをかねて6月2〜4日、韓国を連帯訪問しました。訪問には、ビタミンU(若者支部)組合員と協力組合ゴンチャロフ労組組合員も同行しました。

正規職化実現の闘い

 ソウル市は、「労働尊重都市」というスローガンを掲げ、市関連の非正規労働者を大規模に正規職化し、全国最低賃金より高い「生活賃金」を制定して、労働条件を底上げするなど画期的な労働政策を展開しています。注目すべきは、それらが市長からのトップダウンだけで行われるのでなく、非正規労働者の労働組合結成を促し、非正規労働者自身がソウル市を突き上げる運動を作っている点です。

 1日目に交流した希望連帯労組茶山(タサン)コールセンター支部も、そうした労働組合です。ソウル市は24時間対応の電話サービスを提供しています。ソウル市のあらゆる分野に関わる相談に24時間対応し、オペレーターが担当部署につなぎます。運営は3つの民間会社に委託。そこで働く労働者は非正規で労働条件も悪く勤続年数も数か月と極端に短かったとのこと。

 2012年、そのコールセンターの労働者が労働組合を結成し、ソウル市の財団を設立させ、財団の正規職員として身分を安定させました。財団設立にあたっては、署名を集めてパク・ウォンスン市長に直接訴え、反対する議会を説得するために1年間毎日「一人デモ」を継続し、議員の説得活動を続けてやっと議会を通過させたといいます。雇用を安定させるとともに、職場の問題点を数十点に整理し、少しずつ改善していく中で、労働者の定着率も大幅に改善。80%以上の労働者が6年以上、シム・ミョンスク支部長(来日予定)も8年働いています。仕事の熟練度も上がり、市民へのサービスの質も大幅に向上したとのことです。400人のコールセンター労働者の80%が労組に加入しています。7月ZENKOでの交流が楽しみです。

サムスン本社前で交流

 2日目は、2月に発足した青年ユニオン新執行部と交流しました。韓国は、6月13日が統一地方選挙の投票日で、青年や労働についてどう考えるか候補者アンケートを取る、記者会見を開くなど、青年政策を実現するよう迫る選挙活動に全力を注いでいるとのことでした。日本でも来年4月に統一地方選を控えており、その活動は大いに参考になるのではないでしょうか。

 委員長・事務所長とは初対面で、自己紹介で盛り上がりました。委員長は友達に誘われて美味しい食事をごちそうしてもらい、青年ユニオンの政策にも共感したので2010年青年ユニオンに加入したといいます。事務所長も先輩にごちそうしてもらって…。ゴンチャロフ労組の組合員も同様にごちそうがきっかけで労組に入ったそうで、「ゴンチャロフ労組のやり方は間違っていない」と膝を打ち、確信≠深めたようでした。

 2日目午後には、サムスン電子の巨大な本社前で、白血病労災の解決交渉を求めて971日目となる市民団体「パノルリム」のテントを訪問して交流しました。サムスンは半導体工場での白血病による死亡を労災と認めていませんが、「パノルリム」の活動によって、サムスン関連の犠牲者300人と他企業の犠牲者100人の存在が見いだされ、100人が労災申請し、30人が労災と認められています。

 サムスンは「無労組主義」を掲げ、労組結成の動きを徹底的に弾圧してきました。「サムスンに労働組合があったらこんなに犠牲者は広がらなかっただろう」と言われています。朴槿恵(パククネ)弾劾闘争の中でサムスンが労組弾圧を行ってきた秘密資料が暴露され、全国的批判を浴びてサムスンサービスセンター労組を認めると発言せざるをえなくなりました。しかし、まだ団体交渉には応じていません。

 ゴンチャロフのパワハラ過労自死の労災認定を求める闘いを報告し、どこにも同じ闘いがあることをこのテントでも再確認しました。希望連帯労組からは「韓国でもゴンチャロフのお菓子の不買運動を」との声も上がりました。労働者を殺させない、非正規労働者・青年の権利を守る日韓共通の闘いを作りたいものです。

(なかまユニオン執行委員長・井手窪啓一)

《連続シンポジウム》
◆「労働尊重都市」ソウルから学ぶ 7月14日(土)18時〜南部労政会館(JR大崎駅)/7月16日(休)13時半〜PLP会館(JR天満駅)
◆ソウル市コールセンターの闘い 7月29日(日)エルおおさか(地下鉄天満橋駅)









ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS