2018年07月13日 1534号

【労働法大改悪強行糾弾 グローバル資本の総奴隷化攻撃 高プロは廃止しかない】

立法の必要全くなし

 安倍政権がグローバル資本の要求に応えて最優先で進めてきた「働き方改革」関連法案=労働者総奴隷化法案。6月29日、参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会、希望の党などの賛成多数で強行可決、成立した。過労死促進の「高度プロフェッショナル制度」(「高プロ」)は2019年4月から導入されることになった。

 「高プロ」の必要性について、安倍首相は「労働者のニーズに応えるもの」と主張し、加藤厚労相も「私もいろいろお話を聞くなかで要望をいただいた」と答弁した。だが、聞き取りのほとんどはその加藤答弁後に後付けで行われていた。しかも、わずか5社12人に人事担当者同席で聞いたもの。安倍政権は、立法が必要な事実そのものがないでたらめ法案を野党の批判にまともに答えず数の力で強行した。怒りをこめて糾弾する。

手を貸した連合議員ら

 「働き方改革」関連法案の採決をめぐり、成立を阻止するために立憲、共産、自由、社民の4野党は島村参院厚生労働委員長(自民)解任決議案を提出した。しかし参院野党第1党の国民民主党は採決を容認し、解任案提出にも加わらなかった。

 野党最大会派が、委員長解任や閣僚問責などの決議案提出に加わらないのは異例。自民党は野党が結束できないことに乗じて、島村委員長解任案の本会議採決拒否というこれも異例の暴挙に出た。

 国民民主党の支持基盤である連合は、法案にはかねて主張してきた長時間労働規制などが含まれるとして、阻止行動には取り組まなかった。連合に呼応した同党参院幹部の「われわれはずっとこの法案は必要だというスタンスでやってきた」との発言も報道されている(6/28時事通信)。
 国民民主党の参院会派は24人。内8人が連合推薦議員だ。出身は、東京電力、関西電力、トヨタ、日産、東芝、パナソニックなどグローバル企業がずらり。実質的に「高プロ」を容認し、「過労死水準の残業年間上限規制」を通すために安倍政権にすり寄った。

 採決直前の6月27日、連合の相原事務局長が自民党岸田政調会長を党本部に訪ね、来年度予算編成に向け、長時間労働是正など重点政策の要望書を渡していた。「高プロ」の含まれる「働き方改革」関連法案が強行されようとするタイミングに、わざわざ与党に法案採決容認を意思表示したのである。

150年前に逆戻り

 1864年、ドイツの社会主義者マルクスは国際労働者協会(第1インターナショナル)特別評議会で労働時間について次のように述べた。

 「時間は人間の発達の場である。いかなる自由な時間も持たない者、睡眠や食事などによる単なる生理的中断を除いて、その全生涯が資本家のための労働に吸い取られている人間は、役畜(えきちく)(農耕や運搬など労役のための家畜)にも劣る。彼は単に他人の富を生産するための機械にすぎないのであり、体は壊され、心は荒れ果てる。だが、近代産業の全歴史が示しているように、資本は、阻止されないかぎり、しゃにむに休むことなく労働者階級全体をまさにこのような最大限の荒廃状態に投げ込むことだろう」(マルクス著『賃金・価格・利潤』より)

 154年後の日本の状況はまさにマルクスの指摘した通りになっている。

 法案可決後、全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は「『高プロ』導入で間違いなく過労死は増える」と改めて批判し、「法成立で諦めず、遺族として社会に警鐘を鳴らし、犠牲者が出ないような健全な働き方のできる社会にしていく活動を続けたい」と決意を語った。

 最前線で「高プロ」と「過労死水準の年間残業上限規制」に反対して闘ってきた全国過労死を考える家族の会の決意に応え、「高プロ」廃止を掲げてともに闘おう。資本の総奴隷化攻撃を阻止しよう。

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