2018年07月13日 1534号

【「月桃の花」歌舞団 ガマ人間あらわる 私の命は私のものだ 私は生きる=@の思い広げる 岡山公演】

岡山公演に170人 鑑賞者の共感を手がかりに

 6月17日、岡山市でのフクシマ・オキナワとつながる希望のミュージカルコメディ『ガマ人間あらわる』公演は170人の参加で大成功した。

 改めて本番への歩みを振り返る。昨年の和気(わけ)公演(岡山県和気町)を見た岡山地区労の方から「岡山市内でやるなら協力できるよ」「地区労の旗開きでエイサーを踊ってくれないか」と声がかかった。

 1月、実行委員会を立ち上げ準備が始まった。4月15日、公開リハーサルを20人が鑑賞。「追い出し部屋のシーンは、まさに私の経験と重なりました」など、職場での生きづらさや日々の生活の不安など、率直な感想が語られた。「本番に向けて友達にも広げます」と、チラシと当日精算券を預かってくれた。

 非正規で働く郵便局の方は「ブラック企業のシーン、うちの職場にそっくりだった。沖縄の自爆もブラック企業社員の自殺も国家の政策の失敗によって、死にたくないのに死に追いやられた≠ニいう意味で、根本は同じ。福島も沖縄も国家の捨て石という点で同じ。他者の苦しみや怒りに目をむけ分かち合い、命を大切にする社会を築くために、共に歩んでいけたらと思います」と公開リハーサルの感想をSNSで発信。知人、友人に広げていただいた。

 本公演後、フィナーレの曲『ダイレクト』の歌詞「私の命は私のものだ 私は生きる」への共感が多く寄せられた。「今の社会の現状と人間の力強さを感じました。沖縄であったり、福島であったり、国は全く責任を持たない中で、こういった舞台を通して人の心を動かしていくのはいいなあと思いました」

 広島から来られた方は「みんな同じガマの中にいる、時も場も越えて。ガマの正体をしっかり見極めつながっていく、声を出していくことも大切さを改めて思いました」。

 感想交流会では、心の中に閉じ込めていた思いがミュージカルの内容と重なり、本音が語られる。「私の命は私のものだ 私は生きる」と声に出せばいいんだと、当事者としての共感と感動が広がった。

 ガマ人間≠ノよってバラバラに分断され孤立させられる社会ではなく、人間らしく、本音が言える社会にしていくためにも、全国に公演を広げたいと思った。

(「月桃の花」歌舞団・西日本公演担当 廣田和也)


一歩踏み出すきっかけに そんな舞台を届けたい

 『ガマ人間』岡山公演を無事終えることができました。

 会場いっぱいの観客。その表情を感じるほどの近さ。緊張感と同時にわくわくする気持ちが高まりました。大阪公演から約3か月。「以前と同じいいものを」ではなく「以前よりもいいものを」をみんなが考え、より強くメッセージを伝えようとした公演だと強く感じました。みんなが高まろうとしているので、実は主人公として置いていかれないように、場面を壊さないようにと焦りも感じていました。

 舞台はどうしても主人公や個性の強い役に注目が行きがちです。しかし意識はしていなくとも、観客の目にはその「場面」すべてが写り、その耳にはすべての音が入ります。それぞれの役の表現、演奏方法、照明、音響…みんなのひとつひとつの努力が合わさることでより素晴らしい舞台ができ上がるのだと実感しました。また、岡山での実行委員・協力者の方々が公演を多くの方に伝えようとご尽力くださり、準備から様々にご協力くださいました。活動拠点の大阪からは少し遠くなかなかに足を運べないもどかしさの中では、にこやかに力強く後押ししてくださる姿は本当にありがたいものでした。

 公演終了後、「感動した!」と力強く握手を求めてくださる方、「すごく良かった。私も舞台をするの!」と小学校低学年の女の子。「4歳の子が最後まで集中して観ていた」と驚きを伝えてくださるお母さん。「5月末に職場を辛い辞め方をした私には、命の洗濯になりました。これからも、私の命は私が決めます」など多くの方々から感想をいただきました。本当に喜んでいただけてうれしかったです。「私の命は私のものだ 私が生きる 私が決める」―そう心強く一歩を踏み出すきっかけとなる舞台をこれからも様々な地域、人に伝えたい思いでいっぱいになる公演でした。

(「月桃の花」歌舞団・姫路 坂井里奈)

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