2018年07月20日 1535号

【辺野古 7・7県民集会に2000人 「躊躇(ちゅうちょ)なく撤回を決断」と知事メッセージ】

土砂投入を許さない

 政府が公言する土砂投入まで1か月余の緊迫の中、オール沖縄会議は7月7日、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で「ジュゴン・サンゴを守れ!土砂投入を許さない!辺野古新基地建設断念を求める県民集会」を開催。2千人以上が参加した。オール沖縄会議の高里鈴代共同代表ほか、県選出国会議員でつくるうりずんの会のアピールがあり、米国ジュゴン訴訟結審(6/28)なども報告された。

 この日、翁長雄志(おながたけし)知事のメッセージが読み上げられた。「辺野古反対の民意を無視し新基地建設を進める政府に多くの県民が激しい怒りを抱いていることを強く感じている。政府はなりふり構わず、埋め立て工事の既成事実を図り、県民をあきらめさせようとしているが、私たち県民の生命、財産、子や孫の安全、安心のために決してあきらめるわけにはいかない」と強い決意が示された。さらに、知事権限による撤回にも触れ、「法的な観点からの検討を丁寧に行っており、環境保全措置について看過できない事態となれば、躊躇なく私は撤回を決断する」と強調。撤回を求める声が日に日に高まる中、何とか県民の思いに応えたいと綴(つづ)られた内容だった。

 辺野古工事における軟弱地盤問題について、沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんが報告。「防衛局は辺野古の工事をめぐり大変難しい局面にぶつかっている」として、仮に防衛局が地盤改良工事をするにしても、公有水面埋立法に基づいて知事に設計概要の変更を申請しなければならず、知事が承認しない限り辺野古新基地事業は頓挫すると指摘。「政府は軟弱地盤の問題を明らかにせず、秋の県知事選挙まで逃げ回るつもり。ゲート前や海上での阻止行動を強化するとともに、県知事選に勝利することで完全に工事を頓挫させることができる」。目の前にある展望に確信を持って頑張ろうと訴えた。

 「今こそ立ち上がろう」の合唱で参加者は一体に。両手をつないで挙げるオール沖縄式のガンバロー三唱≠ナ締めくくられた。

 オール沖縄会議は8月11日午前11時から那覇市奥武山(おうのやま)公園陸上競技場で埋め立て土砂投入に反対する県民大会を開き、3万人の参加を目指す。

台風襲来、自然も抗う

 キャンプ・シュワブ沿岸の工事現場では、7月1日の台風7号の影響で無残な姿が至る所に現れた。工事で張られたオレンジ色のオイルフェンスやフロートは護岸や岩場に打ち上げられ、切れたり浮いたりしている。オイルフェンスを固定するブロックが引きずられたことで海底の海草や藻場が傷つけられた可能性もある。さらに護岸工事で並べられた被覆ブロックも隙間が拡がるなどズレが見られた。

 現在造成中の護岸の高さはせいぜい3bほど。この高さで8月に土砂が投入された場合、ひとたび台風が襲来すれば、高波で護岸内の土砂が外海に流れ出し汚濁が広がってしまう。こうした懸念は、市民側が再三指摘してきたが、台風対策すら怠った沖縄防衛局のでたらめ工事の実態が改めて明らかになった。この後も最強台風8号の接近が予報されている。台風襲来は例年と比べても多い。民意を無視し工事を強行する政府に自然も抗(あらが)っているかのようだ。

全県の軍事要塞化狙う

 防衛省は、弾薬や燃料などの物資を集積する陸上自衛隊の補給基地を県内に初めて設置する。離島奪還作戦を担う水陸機動団(長崎県相浦<あいのうら>駐屯地)の新設、宮古島・石垣島への地対艦ミサイル部隊の配備で必要性が高まっているというのが口実だ。うるま市の陸自勝連分屯地が有力視されており、米軍のホワイトビーチに近く、海上輸送で同地区を使う思惑もある。

 ミサイル基地工事が始まった宮古島では、保良(ぼら)の弾薬庫近くに100名程度が駐屯できる兵舎建設計画も発表された。自衛隊増強は政府が言う「負担軽減」の逆行であり、沖縄戦時のように全県の軍事要塞化が狙われている。

 6月23日「慰霊の日」、沖縄全戦没者追悼式で自作の詩「生きる」を朗読した港川中学校3年相良倫子(さがらりんこ)さんは「戦力≠ニいう愚かな力で得られる平和などない」と言い切った。沖縄戦に限らず、まさにいま強行されている辺野古新基地建設や自衛隊配備に対して説得力を持つ内容だ。

 翁長知事は、安倍首相を前に平和宣言で「辺野古新基地はアジアの緊張緩和の流れに逆行している」「新基地を造らせないとの思いはみじんも揺らぐことはない」と、辺野古唯一に執着する安倍政権を批判し、県民に向けた力強い決意を述べた。

 東アジアの平和のために、軍拡を許さず、米軍基地撤去とともに自衛隊配備阻止こそが求められている。 (A)



 
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