2018年08月03日 1537号

【安保法制違憲訴訟/証人全員を不採用/東京地裁/原告/裁判官忌避を申し立て】

 安保法制違憲訴訟(国家賠償請求)の第8回口頭弁論が7月20日、東京地裁であった。

 原告側は被害を客観的に裏付けるため、元最高裁判事の濱田邦夫さんや学習院大学教授(憲法学)の青井未帆さんら8人の証人尋問を申請していたが、前澤達朗裁判長は「必要性はない」として証人全員の不採用を通告。法廷内には「裁判所の良心はどこへ行った」「腐ってる」「三権分立はどうした」「市民をなめるな」と激しい怒号が飛び交った。

 原告代理人の寺井一弘弁護士がただちに「忌避(きひ)(不公正な裁判をするおそれのある裁判官を職務執行から外すこと)」を申し立て。理由として「4月に3人の裁判官が全員入れ替わった。1月の原告本人尋問を直接聞いた裁判官は残っていない。何らかの意図を持った恣意的な配置転換だ。しかも、裁判長は非公式の協議の場で『証人採用には消極的』と予告していた。裁判の公正を妨げる事情があることは明白」と述べた。忌避されたにもかかわらず裁判長は席にとどまり、傍聴人に退廷を指示するなど不遜な態度をとり続けた。

 報告集会で寺井弁護士は「前澤裁判長は最高裁事務総局で人事局任用課長をしていたエリート中のエリート。忌避申し立てに傍聴席から拍手があり、『それでも人間か』など思いの丈を述べてもらった。私は大きな励ましを受けた。これからが闘いの始まり、仕切り直しだ」と語った。8月2日名古屋地裁に25件目の提訴が行われること、弁護団にイラク派兵違憲判決の青山邦夫元名古屋高裁裁判長が、原告にノーベル物理学賞の益川敏英博士が加わっていることも明らかにした。

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