2018年08月03日 1537号

【福島原発かながわ訴訟 結審/横浜地裁を300人が取り囲む/ふるさと喪失への完全賠償を これ以上苦しめるな】

 提訴から4年10か月、福島原発かながわ訴訟が7月19日結審し、判決日は来年2月20日と決まった。横浜地裁には京都・大阪や山形・福島・群馬・千葉・東京など各地の避難者集団訴訟の原告・弁護士・支援者ら300人がかけつけ、結審段階ではかつてない規模の取り組みとなった。

 朝9時すぎ、地裁前の歩道両側にパリ市民の闘いにちなんで赤・白・青の横断幕を並べ、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の劇中歌『民衆の歌』を合唱して、法廷に入る原告らを見送る。昼休みの時間帯には、猛暑の中、給水係を配置しながら元気に地裁の周囲をデモ行進。報告集会も会場をいっぱいにして午後6時すぎまで行われるなど、支援の力を裁判所に十二分に見せつけた。

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 法廷では、原告本人と弁護団計7人が最終意見陳述。

 原告弁護団は「責任」論について、地震調査研究推進本部の2002年「長期評価」の信頼性を展開し、同評価によって対応したとしても津波の被害は免れなかったとする被告の開き直りを論破した。「損害」論では、区域外と区域内等の線引きの不合理性を実証するとともに、低額の賠償は「ふるさと喪失慰謝料」を軽視するものであり、今なお避難生活が続く実情無視の根底に低線量被ばくへの誤った理解があることを強調。最後に、黒澤知弘弁護団事務局長が「結審を待たず6名の原告が亡くなっている。これ以上歳月を費やすことのないように」と訴えた。

 福島市から避難した原告の女性は「測定した数値を見て戻れないと判断した。賠償金はほとんどもらえず、思い出の家を手放してしまった。住宅無償提供が打ち切られてからは、経済的にどんどん苦しくなった。区域外の避難者にも区域内同様の賠償を」。

 村田弘(ひろむ)原告団長は、原告一人ひとりの痛切な声に思いを馳せつつ「被害は終わっていない。終わらない。私たちは原告の仲間6人を見送りました」と絶句し、「加害責任をより明確にし、これまで経験のない原発事故被害に決着をつける歴史的な判決を」と訴えた後、被告代理人に向かい「生身の人間として事実に向き合っていただきたい。国・東電の責任者に『被害者をこれ以上苦しめ続けるのはやめよう』とお伝えいただきたい」と語りかけた。拍手が鳴りやまず、裁判長も制止しなかった。

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 報告集会で弁護団は「東電は前日になって陳述取りやめを連絡してきた。訴訟は相手を押し込んだ形で終えられた」と評価。原告は16人がひと言ずつ発言し、支援者との出会いや弁護士の寄り添いへの謝意が相次いだ。「ふくかな(福島原発かながわ訴訟を支援する会)」から5万を目標に公正判決署名が提起され、原発被害者訴訟原告団全国連絡会、ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)などが連帯あいさつした。

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