2018年08月10日 1538号

【議会を変える市民と変える/東京都日野市議・有賀精一/都市農業の発展を】

 読者の皆さんの住んでいる町は農業は盛んですか。周りに農地はありますか。

 わが町日野市はどうかというと、かつては多摩川と浅川に沿った低地で稲作が盛んに行われ、東京都の中でも有数の穀倉地帯として知られていました。ところが、1965年以降、急速な都市化により農地が次々と住宅地に変わり、典型的な都市近郊のベッドタウンへと変貌しました。

 それでも農地は残り、多くが住宅地と隣り合って散在することになりました。この農地を使って、日野市では大都市に隣接したいわゆる「都市農業」が展開されてきています。

 日野市の農業の特徴の一つに、小中学校の学校給食への農産物供給事業があります。始まったのは1983年。現在は25校すべてが実施し、地元農産物利用率は2016年度実績で25・6%となっています。

 地元農産物を使った日本一おいしい学校給食をという目標もあり、いくつかの学校が実際に賞を獲得しています。

 こうした背景には、日野市として1998年に全国に先駆けて「農業基本条例」を制定し、市民・農業者・市が協力・連携しながら「農あるまちづくり」を展開し、農業を「永続的に育成していく」と掲げてきたことや、市政としても農業への支援を進めてきた経緯があります。

 昨年12月、日野市議会の全議員が集まって都市農業振興議員連盟を発足させ、議会としても積極的に応援する取り組みを始めました。

 読者の皆さんの町にも市民農園があるでしょう。

 日野市の市民農園は、年6千円の料金で2年間、20uの区画が借りられ、人気があります。

 市民農園条例では、「市民が農園作業を通じて自然に親しみ、生産の喜びを味わい、豊かな余暇生活に資するとともに、市民農園事業を展開することにより都市環境の保全に寄与すること」が目的とされています。

 先日7月27日、議連の主催で農地視察と農業者との懇親会が行われました。視察に先立ってJA関係者から日野の農業や昨年開業した「みなみの恵み」(直売所)の説明を受け、その後ブルーベリー農園で摘み取り体験をしました。視察後の懇親会で農家の方とお話したのですが、後継者問題はどこも大変な課題になっているようです。

 生産緑地法の改正など、都市農業を支える動きはあるものの、農家の責任にとどめず、行政と市民も参画した「農あるまちづくり」を私たちも真剣に取り組んでいかねばと考える場にもなりました。
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