2018年08月10日 1538号

【みる…よむ…サナテレビ493/2018年7月21日配信 イラク平和テレビ局in Japan/誰が道路を破壊したのか バグダッド・カラーダ地区住民の怒り】

 バグダッド中心部のカラーダ地区では、行政当局が道路修復の名目で工事を行ったが、歩道や道路のタイルや舗装がはがされ、破壊されてしまった。2018年5月、サナテレビはこの問題についてカラーダ地区住民にインタビューした。

 カラーダ地区は「文化と文明の町」といわれている。町並みも整っている。ところが、映像のある地域の様子を見ていただきたい。歩道に貼られていたタイルも、道路のアスファルトも、無くなっている。

 地域の有力者は「どこの誰かも分からない連中が4つ以上の道路のタイルや舗装を撤去していきました」と訴える。道路と共に、この人の自宅も破壊された。いったい何が起こっているのだろうか。

 次に登場する女性がこの「茶番劇」を説明する。バグダッドの行政当局は「道路の整備をする」と言って工事を開始した。イラクでは道路などのインフラ整備が遅れているので、「住民はみんな拍手を送った」。

 ところが、やって来た会社名も分からない業者は、道路を掘り返し、歩道のタイルをはがしただけで放置して去ってしまった。行政当局と癒着した業者が、肝心の道路の補修を全部放棄してしまったのだ。何の修復工事もせずに工事費用を受け取っているのだから大もうけしたに違いない。

 番組の原題は直訳すると「破壊が新たな腐敗の顔となった」である。これは住民が被害を受けた汚職事件だ。だが、行政当局は「我々には責任がない」と居直るばかりである。

 5月12日イラク国民議会選挙で、この地区の住民のほとんどは投票をしなかった。腐敗選挙を拒否したのだ。住民の話では、行政当局はこれに対する報復も意図したようだ。

 それにしてもこの汚職はひどい。ある住民は「車は通ることができません。砂利がむき出しで、家の水道管も破壊されたからです。これは一体誰の責任でしょうか?」と政府当局の責任を厳しく問う。

 イラクでは、行政当局、有力政治家と業者が癒着し、地域の道路修復など公共事業の資金を横取りする汚職がまかり通っている。サナテレビは、こうした汚職のために市民生活が破壊されている実態を伝えることで、腐敗政権を許さない声を広げようとしている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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