2018年08月17日 1539号

【第12分科会/JR31年 分割民営化後の現在を問う/リニア建設・在来線廃線阻止、安全最優先を決議】

 ZENKOin大阪・第12分科会「JR31年・分割民営化後の現在(いま)を問う〜ローカル線・リニア・安全問題」は24人が参加、3時間半にわたって報告・討議が行われた。昨年までは「交流のひろば」だったが、今年は分科会となった。山陽新幹線での台車亀裂事故(昨年12月)や人身事故(6月)後も列車が運行を中止せず走行し続けるなど、JRのあらゆる問題が深刻さを増しており、今後の運動方針を決議の形で具体化する必要性を参加者が感じたからだ。

問題ばかりのリニア

 前半では、リニア市民ネット・大阪から3人が報告を行った。全国の新幹線をネットワークとして整備するための根拠法である全国新幹線鉄道整備法を他のどの路線とも接続できないリニア事業に適用することの違法性に始まり、形骸化した環境アセスメント、日本最大の活断層である「中央構造線」を貫いて作られるリニアの危険性、75万キロワット(原発1基分)もの巨大な電力を消費するリニアの電力浪費体質、静岡県・大井川での流量減少、トンネル掘削に伴う残土などの環境破壊問題が示された。

 これまで10回の弁論が行われてきたストップ・リニア訴訟の経過のほか、リニア建設予定地で住民が立木の所有者となる立木オーナーが全国に669人いることも報告された。リニア建設でこれらの木を伐採する場合にはオーナーの同意が必要だ。立木オーナーが増えるほど同意に時間がかかるため、建設を遅らせることができる。

 報告を通じて、改めて問題しかないことが浮き彫りになったリニアは中止しかない。

路線も安全も奪う

 全路線の半分をJRが自社単独では維持困難と発表した北海道からは安全問題研究会が現状を報告。ローカル線の再生を求めるアピール行動や全道署名7万3千筆の提出などこの間の闘いを紹介した。また、鉄道近くに統廃合後の学校を移転させる茨城県の実例を示し、道路中心から鉄道中心へ、まちづくり自体を見直す必要性を訴えた。

 後半では、JR尼崎事故(2005年)で娘さんを失った藤崎光子さんが事故後13年目を迎えた心境を訴えるとともに、企業の正当な責任が果たされる社会にするため、企業に巨額の罰金刑を科せるようにする組織罰制度の実現を目指す決意を新たにした。

 「JRに安全と人権を!株主・市民の会」は、分割民営化後31年間の闘いの中から、安全・利用者無視のJRを変えるため、市民・利用者との連帯を強めていく必要性が強調した。

 討議では「決議に交通権や財源確保を入れるべき」「ローカル線は北海道だけではなく全国の問題」「公共交通政策の転換を求めるべきだ」等の意見が出され、今後の方針となる決議を採択した。

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〈採択された決議〉

 (1)環境破壊、税金無駄遣い、沿線住民が反対しているリニア新幹線建設をやめさせよう。(2)JR北海道を始めとする全国のローカル線廃止を阻止し、地方破壊を止めよう。(3)最近では新幹線台車亀裂事故などを起こしたJR西日本を監視し、安全最優先を求めよう。(4)利用者、市民が決定権を持つ民主的な公共交通と交通権、利用者本位のサービスを確立するとともに、そのための財源確保を求めよう。(5)これらの課題を通じて、望ましい公共交通政策を確立しよう。



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