2018年08月17日 1539号

【英国への原発輸出は許さない/危険な日本の原発ビジネス/対政府交渉で「秘密主義」を追及】

 「核武装国インドへの原発輸出に反対する市民ネットワーク」は7月20日、日立製作所による英ウィルヴァ原発建設に反対して対政府交渉と院内集会をもった。

プルトニウム絡みか

 英国は2019年3月に欧州連合(EU)から離脱し、欧州原子力共同体(ユーラトム)からも離脱する。これに伴い、従来ユーラトムが実施してきた保障措置(核物質の軍事転用を防ぐための査察などの活動)は英国に適用されなくなる。

 原発輸出にあたっては、相手国との二国間協定で保障措置が厳格に定められる。現行の日英原子力協力協定は、英国がユーラトム加盟国であることを前提としており(協定前文)、離脱となれば改定が必要となる。しかし、日英原子力協定の改定の話は全くオープンになっていない。

 対政府交渉では、このことをただした。外務省の国際原子力協力室企画官は「英国と意見交換はしていて、適切に対応したい」と繰り返すばかりで、内容には一切ふれず、秘密主義そのものだ。ただ、「改定となれば国会承認にかける」と回答した。

 総額3兆円を超える日立の英国への原発建設事業。断念させるために、この日英原子力協定の点からも追及していく必要がある。

 英国は、プルトニウムの引き取りをビジネスとしてきた。日本分として20・8トンを保有している。市民ネットワーク世話人のii正明さんは、改定交渉が秘密裏に行われている背景として「英国に日本由来のプルトニウムを引き取ってもらうことと、原発建設の事業費の英国負担分がからんでいるのではないか、とも考えられる」と指摘した。

 英国でも原発コストは再生可能エネルギーに完全に負けている。

 フランスと中国の電力会社による英国ヒンクリーポイントC原発の例でコスト比較をした表が、東京新聞で紹介された。原発コストは再生可能エネルギーよりもはるかに高く、電力市場価格との差額分を政府の買い取り制度により英国民が4兆円以上も負担するという。この構造はウィルヴァ原発でも同じだ。英国民に負担を押しつけるもので、この面からも容易に原発計画は進められない状況となっている。


抗議はがき広げる

 7月29日、ZENKOin大阪2日目に「原発輸出反対」をテーマにした分科会が開催された。英国への原発建設に反対するため、日立、そして日本原子力発電への抗議はがきを取り組んできている。

 日本原電は茨城県に東海第2原発を保有し、この秋再稼働を狙っている。英原発建設ではロンドンに事務所を構え、現地調査を日立から受注しているのだ。

 通常国会に野党は原発ゼロ法案を共同提出した。しかし、原発輸出については触れられていない。福島事故を経験した日本は、原発を輸出してはならない。武器輸出については、武器輸出禁止3原則の下、国策として縛りがかけられてきた。そこから学び、「原発輸出禁止の国会決議の実現をめざそう」との項目を決議に追加した。

(コアネット[戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション] 山口兼男)



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