2018年08月17日 1539号

【辺野古埋め立ては阻止できる/国際連帯・ジュゴン訴訟逆転勝訴で 第8分科会】

承認撤回後の運動

 「今こそ埋め立て承認撤回を! 国際連帯・ジュゴン訴訟で辺野古埋め立てを止めよう!」と題したZENKOin大阪・第8分科会は、翁長(おなが)沖縄県知事が承認撤回にむけ「聴聞」の手続きに入ることを表明した情勢で開催されました。

 沖縄から、音楽家でジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)代表の海勢頭(うみせど)豊さんが参加されました。

 海勢頭さんは「2世紀ころ卑弥呼は沖縄のジュゴン信仰に学び『倭国大乱』をしずめた。その後、武力信仰の天皇制権力が出現し、ジュゴン信仰も封印された。安倍政権につながる日本の権力の系譜は、平和を希求するジュゴン信仰を何が何でも封じ込め沖縄の人々を屈服させようとしている。これが現在の辺野古埋め立ての強権的やり方に表れている」と発言されました。

 基調は、ジュゴン訴訟控訴審の現状と展望、埋め立て承認撤回後の運動について提起しました。SDCCは昨年の9月3日と今年6月24日、沖縄大学名誉教授・桜井国俊さん、ジュゴン訴訟団・真喜志好一さんなどとともに2回シンポジウムを開催し、(1)早期の撤回表明がジュゴン訴訟に良い影響を与える(2)「ジュゴン個体C」の行方不明や大浦湾の軟弱地盤問題など撤回の根拠は十分ある(3)撤回は何度でもできる(4)IUCN(国際自然保護連合)をはじめ、世界は沖縄の環境保全と基地問題に関して注目している―などを明らかにし、知事の撤回表明を後押ししてきたことを確認しました。

 ジュゴンを保護するために日米の環境保護団体が米国防総省を相手にサンフランシスコ連邦地裁に訴えているジュゴン訴訟では、6月28日の結審において初めて実質審理が行われました。米国防総省は、国家歴史保存法(NHPA)402条にもとづいて原告が求める当事者との協議やジュゴン保護策に関し、具体的にどのような行動をしたのか、とチェン裁判長に問われましたが、具体的な返答を避けました。

 審理の内容では原告優勢でしたが、NHPAは手続き法であり、裁判長が日米の政治問題に大きな影響を及ぼす判決をくだすことに明らかに躊躇しているため予断は許されない。勝訴しても敗訴しても控訴審は避けられない。だからこそジュゴン訴訟に関してもっと広いキャンペーンが必要で、そのためにリーフレット作成と12月東京と大阪でジュゴン訴訟報告会を行うことを決めました。

逆転勝訴の実現へ

 ZENKO後の8月2日、連邦地裁は、原告の申し立てを却下し、米国防総省のジュゴン保護のための手続きは正当に完了していると判決を出しました。

 翁長知事が「承認撤回」を表明し、護岸封鎖によって環境問題が大きくクローズアップされる情勢の下、早めの判決で焦点化を避けようとしたとも考えられます。

 判決は、ジュゴン保護策や利害関係者との協議に関して、事業者(国防総省)の裁量権を認め、2014年に国防総省より裁判所に出された「行政記録」を根拠に判断をしています。2014年以降のジュゴンと環境をめぐる事態の悪化に関する情報は考慮されていません。判決文の分析の上に、原告団は控訴するとみられます。控訴―逆転勝訴を実現するために国際的世論が重要です。今後作成するリーフレットの普及と12月報告会の成功に協力をお願いします。

 原告弁護団のサラ・バート弁護士は「法的手段はたしかに重要な闘いだ。いずれにせよ沖縄民衆は生き方をかけて今後も闘いを続けていく」とコメントしました。

 土砂投入を許さず、9月名護市議会選挙、11月沖縄県知事選挙に必ず勝利しましょう。

(SDCC・松島洋介)

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