2018年08月31日 1540号

【みるよむ(495) 2018年8月18日配信 イラク平和テレビ局inJapan 平和の国際連帯を強めよう ―サミール・アディルさん(イラク労働者共産党)】

 イラク平和テレビ局inJapanは、7月のZENKOin大阪(平和と民主主義をめざす全国交歓会)に参加するため来日したサミール・アディルさん(イラク労働者共産党書記長)にイラク・中東情勢についてインタビューを行った。

 サミールさんは「トランプ政権がイラン核合意から離脱したのは、米国が中東に軍事化を押しつけ軍配備を復活させたいからだ」と批判する。新たな中東での対立状況は、イラクでは総選挙と新政府樹立にあたって、「米国政府とイラン・イスラム共和国の間の争い」を引き起こしている。

 日本ではあまり知られていないが、「IS(「イスラム国」)が戻ってきてイラク軍兵士を攻撃している」。一方でイランはイラク南部への電力と水の供給を打ち切って影響力を誇示し、自らに都合のいい政府をつくらせようと狙う。

 さらに米国はイランの石油製品輸出を禁止しようとし、イランは軍事訓練や米国との戦争を言い出し、威嚇で対立を深めている。

 被害を受けるのはイラク市民だ。南部のバスラでは摂氏49〜55度という大変な暑さの中で、冷房に必要な電気が来ていない。水道の水は塩分入りだ。今、小学校は1クラス50〜60人で教室のいすや机が足りず、教員も不足。学校にいけない子どもたちがたばこやガムなどを路上で売る児童労働が広がっている。失業率は実質50%以上だという。

 こうした状態に対し、7月8日から南部をはじめ大規模な抗議行動が広がっている。アバディ政権とそれを支えるイスラム主義勢力がデモ隊を銃撃し15人が殺害されたが、市民の立ち上がりは続いている。

 サミールさんたちは「抗議行動を大都市の中心地域から労働者の居住地域に移そう」と提案し、居住地域にソビエト(労働者・民衆代表による評議会)のような委員会をつくって今の政治支配に対する代案をつくり出そうとしている。そのために毎日ニュースレター『変革』を発行し、党の機関紙を広げている。

 また、「イラクの民衆は連帯を必要としている」と訴える。実際にヨーロッパ各地で市民の連帯デモが起こっている。サミールさん自身が全交に参加したこともそんな取り組みの一環だ。

 「7月27日のピースアクションなどで日本共産党、社民党、立憲民主党らが発言し、手を取り合って連帯を示した。これは大きなこと。本当に日本の運動の勝利です」と語るサミールさん。「今年は在日の朝鮮代表(朝鮮総聯)が参加し、韓国から活動家が来た」。安倍政権に対し、日本の進歩勢力、韓国・朝鮮の市民がともに闘っている姿に連帯を表明している。

 今こそ国際連帯で平和を、人権を確立するとき、と確認できる映像である。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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