2018年08月31日 1540号【高齢者のニーズに応える介護へ 命に向き合う思いで行政に要請 尊厳ある暮らしめざし新署名も ZENKOin大阪】 |
２０１８ＺＥＮＫＯin大阪（平和と民主主義をめざす全国交歓会）は、尊厳ある暮らしをめざす介護について、７月27日に東京都足立区・大阪府枚方（ひらかた）市でワンデーアクション要請行動、29日には介護分科会を行った。その報告をよせてもらった。ワンデーアクションで 足立区福祉部に請願18全交では、地域で行動して大阪へ集まろうと呼びかけられたので、地元足立区とやりとりしている真っ最中の内容に関連した行政請願をワンデーに位置付け行いました。「看取（みと）り期まで対応する小規模な地域の住まいへの支援を求める請願」のテーマで、「尊厳ある暮らしを」連絡会の取り組みです。区の介護計画等の中に「看取り期まで対応する地域の小規模な住まい」について取り入れてほしいと求めました。 会の代表であるＮＰＯ法人くまハウス、大久保信之さんから小規模多機能事業所・こぐまでの看取りのケアなどをお話しいただきました。 団塊世代が75歳を迎える「２０２５年問題」を前にして、40万人以上の「看取り難民」、死に場所を見つけられない高齢者が増える問題が指摘されています。 開設から４年目に利用者だったＨさんを自宅で看取られたこと、Ｙさんへのケアでは特養にいれたくない家族の気持ちとこぐまが大好きなご本人の気持ちを大切にケアの在り方を話し合い作ってこられたこと、そうした経験の中から、事業所として看取りまで対応することをめざそうと形作ってこられたそうです。 看取りを共にする中での感動、ご家族の喜びなど、築いてこられた信頼関係などもとても印象深く伝わってきました。 請願には、区の福祉部長、介護保険課長が出席。部長から「看取りは怖くないですか」と率直な質問も。また「地域包括ケアのビジョンについて今年度策定を予定している。その中で何らかの形では考えを示したい」と、要望した事柄に対し満額回答的な答弁をいただきました。画期的です。 参加者から、それぞれの立場からの思いを述べ、短時間でしたが請願を終えました。「部長が出てくる時は何らかの政策変更を行う時」と、参加者からも今回の成果に喜びの声が上がりました。 介護現場での「命」に誠実に向き合う思いを区に伝えられたこと、看取りの意義を確認できたことも大きな成果でした。ご参加いただいた皆さんありがとうございました。 区とのやりとりは継続中。尊厳ある暮らしを支える介護の在り方をめざし、頑張りたいと思いを新たにしています。 （東京都足立区議 土屋のりこ）  介護サービス抑制攻撃に 当事者とともに闘う全交分科会の基調では、国による介護費用削減が、巧妙に進められていることを確認しました。「自立」支援の名で「介護」からの「卒業」を推進し「自立」に向けたプランをケアマネジャーに強要する。デイサービスで利用者の介護状態「改善」に応じた介護報酬「加算」で事業所に差をつける。10月からは訪問介護の回数を制限し規定の回数を上回るケアプランには市が事前にチェックを行う―など介護サービス抑制攻撃です。「認知症の人と家族の会」大阪府支部代表・木寺喜義さんのお話は参加者の感動と共感を生みました。木寺さんは、自らの在宅での「看取り」の経験から、家族や慣れ親しんだヘルパーさんに見守られながら穏やかな最期を迎えることがいかに人間らしい、人間の尊厳を守る営みであるかを語りました。当事者である介護される方や介護する方を支え、その切実な声を広範囲にわたる要望書にして、国に提出する運動も行っています。 「看取りケア」を実践しているいくつかの施設の職員は、その意義と重みを強調し、介護してきた方の最期に立ち会えることは介護職冥利に尽きる瞬間だ、と言います。 国は、病院から在宅へ、地域へと介護を丸投げしています。「介護難民」「看取り難民」を作らないために、手厚い介護サービスが地域で受けられるように条件整備をしていかなければなりません。 その意味で、足立区議・土屋のりこさんが報告された、「ホームホスピス」を地域に建てようとする介護事業者への議会を通じた支援の取り組みの意義は大きいと思います。一方、民間委託や指定管理者制度導入など市民の福祉に責任を持たない地方行政の問題も浮き彫りになる中、当事者や介護職員、事業者、市民、議員がつながって声をあげていけば介護の問題でも行政を変えられる―そうした確信が感じられた分科会でした。 最後に、新たな介護署名が提起され、「介護保険大改悪と闘い、高齢者の尊厳ある暮らしを支えていこう」を柱とする決議を採択しました。 （大阪府枚方市 福祉・介護問題を考える「すずらんの集い」 松田久子）   |