2018年08月31日 1540号

【議会を変える 京都府向日(むこう)市議 杉谷伸夫 LGBTの人権と市民派議員】

 先月、自民党の杉田水脈(みお)議員が「LGBTには生産性が無い。税金を使って支援するのは無駄」という趣旨の主張をした。「そんなに差別されているのか?LGBT支援の度が過ぎる」など全く事実に反することだらけだ。「LGBTに対する支援」は、残念ながらほとんど無いのが現実だ。

 昨年12月議会で私は、初めてLGBTをはじめ性的少数者への理解を進めること、特に学校教育での取り組みが重要であることを訴えた。市民の5〜8%がLGBTであり、小中学校の30人のクラスなら2人くらいの当事者がいるという事実と、そうした子どもたちは自分自身に対する肯定感情が持てず、自尊感情が育ちにくく、いじめ、不登校、自傷行為、自殺念慮(願望)に至る子どもの割合が極端に高いという事実を知り、重大な人権問題だと考えたからだ。性的少数者の7割が学校時代にいじめにあい、3割が自殺を考えたという。

 しかし、LGBTに関する正しい認識は一般的になっていないし、特に学校の教員が正しい知識、認識をもたず、当事者の子どもたちをサポートするどころか率先して追い詰めてしまっている事例も多いという。そこで私は、性的多様性を尊重する学校教育の必要性を訴え、教員の研修の機会を積極的に保障することを求めた。

 同じ時期、隣の長岡京市議会では、全く偶然にも親しい一人の議員が本会議で自らがゲイであることをカミングアウトして、LGBTへの支援に関する市の取り組みを求めた。この時は向日市も長岡京市も、行政側は具体的な答弁をしなかったのだが、半年たって答えが出てきた。

 今日(8月18日)、向日市が主催する「平和と人権のつどい」があり、『彼らが本気で編むときは』という、トランスジェンダーの元男性とその家族関係をめぐる映画が上映された。向日市では初めての取り組みで、満員の盛況だった。8月21日には、隣の長岡京市で「多様なセクシュアリティを考える〜教育現場が担う役割とは」と題した講演会が予定されている。主に小中学校教員が対象だが、一般市民も参加できる。

 12月議会での一般質問が、こうした動きに影響を与えたことは確かだと思う。安倍政権下で、杉田水脈などのヘイト議員が言いたい放題を言い、ネット空間では差別排外主義の書き込みがあふれている。そんな中で自治体行政に対し市民の人権、少数者の人権を守るための取り組みを提案し、実現させていくことは、市民派議員の大切な役割だと改めて認識した。
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