2018年08月31日 1540号

【子どもたちも親たちも強くなった/10周年迎えたフリースペースたんぽぽ/ZENKO分科会で交流】

 ZENKOin大阪の教育分科会(7/29)では、不登校の子どもたちに関わるフリースペースの取り組みも交流された。NPO法人子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽの青島美千代さんに紹介してもらった。

 2016年12月に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」は、不登校の子の個人カルテを作成し管理する(23歳まで、警察も共有)など、子どもたちをさらに追いつめ、命に関わる問題を含む法律です。秋からは、法律の3年目の見直しが始まります。4月には下村元文科大臣を発起人とした民間教育推進のための自民党国会議員連盟が設立され、7月には文科省が「学校復帰」という過去の通知の文言を見直すことが報道されました。

 不登校は子どもたちの問題ではなく、学校の問題です。けれど今後、不登校や発達障害とされる子どもたちは、「支援」といいながら学校から排除され、さらに儲けの対象になっていくでしょう。

青年となった今思う

 横浜の不登校の子どもたちの居場所「フリースペースたんぽぽ」は今年5月で10年になりました。小学生だった子どもたちも青年になり、親たちも子どもたちと一緒に強くなり、成長してきたと思います。10周年を機に今一度、子どもたちの思いを知ろうと企画された講演会で話された子どもの声を掲載します。

 子どもたち、若者を取り巻く状況は厳しくなるばかりです。小さな居場所ですが、これからも子どもの権利を大切にしながら発信を続けていきたいと思います。

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 私が学校へ行かなくなったのは、小学3年生の頃からです。

 全く行かなくなってからは、外に出るのが怖いと思うこともありました。人の視線に敏感になり「普通じゃない」「おかしな子」と見られているような感覚に陥りました。私がその視線を強く感じるのはいつも大人の前でした。もちろん全ての人ではありませんが、何も言葉にしない大人の視線はとても冷たく感じました。それが、行かなくなった当初、とても辛かったことです。

 でも、たんぽぽに行くようになり、同世代で同じように学校へ行かない子と過ごし、また、そんな自分を受け入れてくれた大人たちが居るのだと分かると、学校へ行かないことがだんだんどうでもよくなりました。そして街を歩くことも怖くなくなりました。学校へ無理して行っていた頃よりも私は私らしく人に接することが出来るようになりました。

 今は留学制度のある大学へ行こうと、勉強もがんばっています。人よりスタートは遅いけれど、私にとってそれは重要なことではありません。これから他にやりたいこともたくさんあるし、前に進もうとする気持ちを持てること自体が今、一番、私は嬉しいです。落ち着ける、自分らしく居られるそんな場所があれば、無理に学校に行く必要はないと思っています。(19歳)



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