2018年08月31日 1540号

【沖縄県民大会70000人/基地断念せよ/知事の遺志に誓う/土砂投入許さない】

 辺野古の青い海をあらわす水色のシャツや帽子を着、黒い喪章をつけた人、人、人。8月11日、接近中の台風と雨をものともせず、那覇市奥武山(おうのやま)陸上競技場で開かれた「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める県民大会」(辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議主催)には7万人が集まった。

 音楽家・海勢頭(うみせど)豊さんらによる沖縄戦に思いを馳せる『月桃』の歌で開幕。8月8日に新基地建設阻止の闘い半ばで死去した翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事への黙とうに続き、6月23日慰霊の日「平和宣言」を読み上げる知事の声が流された。

 「先日の米朝首脳会談においても緊張緩和にむけた動きが始まっています。辺野古新基地建設は、アジアの緊張緩和の流れにも逆行し、まったく容認できるものではありません。『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」。がん闘病中にもかかわらず、文字通り命を削って発せられた知事の政治的遺言≠ェ参加者の胸に刻まれた。

 謝花喜一郎副知事は「沖縄県は埋め立て承認撤回に向けた聴聞を開始したが、新基地建設阻止の公約を実現する」。山城博治オール沖縄現地闘争部長は「知事の決意を忘れずに闘う。現場は、1996年からカヌーを出し続け、すさまじい海保の暴力に耐えて抗議の声を上げ続け、2014年から続くゲート前座り込みも一日も欠かさず多くの皆さんが参加している」と続けた。

 翁長知事の次男である翁長雄治(たけはる)那覇市議は「父は生前、ウチナーンチュ(沖縄人)が心を一つにして闘うときには想像するよりはるかに大きな力になる、と言ってきた。オール沖縄で基地を阻止できた≠ニ父に報告したい」。

 参加者全員で「辺野古新基地NO!」「県民はあきらめない」のカードを掲げ、心を一つにした。壇上から辺野古の「美(ちゅ)ら海」色の帽子が大会を見守った。知事がかぶって参加する予定だった。その帽子を真剣なまなざしで見つめる子ども。LINEで相談し仲間と一緒に初参加という大学生グループ。「翁長知事ありがとう」の手書きプラカード。雨の中、身じろぎもせぬ7万の参加者。一人ひとりが決意を心に深く誓う。知事追悼となった大会は、市民の小さな自発的行動の始まりと新たな広がりを予感させた。

 大会には全国から多数の参加があり、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)も20人が訪沖。ZENKO沖縄とともに開会前に3000万署名、東アジアの平和を求める署名行動、また、辺野古現地行動で連帯した。

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