2018年09月14日 1542号

【セクハラ・性暴力を許さない 元凶は安倍政権の人権否定】

差別発言に怒り心頭

 この間の国会議員や官僚のセクハラ・女性差別発言に、心底怒りを感じています。

 女性記者にセクハラ行為を行った財務官僚事件は「本人がやっていないと言っている」(麻生太郎財務相)と、誰も責任を問われることなく、うやむやにされています。

 「彼ら彼女らは子どもを作らない、『生産性がない』」とLGBT(性的マイノリティ)を差別した自民党杉田水脈(みお)議員の発言は、子どもは「生産物」、女性は子どもを「生産する道具」とみなす発想です。すべての女性の人権を踏みにじるものであることはいうまでもありません。

 背景に、「少子化は国難だ」と叫ぶ安倍・自民党の「少子化対策」思想があります。「産めよ増やせよ」の発言が最近も次々に出てきています。「この頃、子どもを産まない方が幸せな(生活が)送れるのではないかと勝手なことを考えて(いる人がいる)」(二階俊博幹事長)「(同性愛は)趣味みたいなもの。男と女が結婚して子を授かって家族という形態ができて、大昔から国を衰退させず、滅びないようにしてきた」(谷川とむ議員)などなど。

 しかし、たとえ子どもを産み育てたくてもそれが困難な日本社会を作り出しているのは安倍政権です。非正規労働者の増大と若者の所得低下、働きながら子育てをする環境は依然劣悪、教育費の増大など子どもにかかるお金は増えるばかり。安倍政権こそが子どもを産み育てられない状況を深刻化させています。

 そして東京医科大学の女子はずしの不正入試。被害者救援に取り組む角田由紀子弁護士は「許しがたい差別行為。この社会は脈々と女性差別が続いている。いかに根絶するか、日本社会全体が問われている」と強調します。安倍政権は「女性活躍」を掲げながら、責任追及もせず、究明もしない。こんな内閣で女性の人権や尊厳は守られません。

 セクハラや性暴力の被害を訴える#MeTooの運動は、日本でもようやく広がってきました。この流れをもっと大きくし、日本のジェンダー問題を国際的な水準に押し上げることです。

 世界の#MeToo運動を反映して、ILO(国際労働機関)は年次総会で6月、職場でのセクハラや暴力をなくすための国際条約を来年制定すべきとの委員会報告を採択しました。ところが、日本政府は「もっと柔軟な内容とすべき」となんと態度を保留。私たちは政府に対し、国際条約を制定してすぐ批准するよう働きかけなければなりません。

国際連帯で差別禁止

 一方、現在の国内法では、明確にセクハラを禁止する法律はありません。男女雇用機会均等法では、セクハラ防止を事業主に義務づけてはいますが、禁止規定を入れたものに改正すべきです。また、性の多様性を認めLGBTの権利も保障するため、「性・性的指向・性自認」(注)による差別を禁止する法律の制定をめざさなければなりません。

 セクハラのない社会をつくるためにも国際連帯が大切です。韓国では、女性の検事に対するセクハラ被害の裁判で司法が加害者「無罪」の判決を出したことに抗議し、「残酷な家父長社会を壊そう」「司法府は有罪」と叫び、2万人の市民が参加した集会が持たれています。セクハラ被害を告発した被害者を孤立させず、被害を受けても声を上げられない社会を変えていく運動を広げていきましょう。

(OPEN<平和と平等を拓く女たちの絆>・山本よし子)

(注)性的指向とは、異性愛、同性愛、両性愛。どの性別を性愛の対象とするかを表す。性自認とは、生物的な性差にかかわらず、自分の性別をどう自認しているかということ。

◆ジェンダー平等を考えるつどい(学習と意見交流)
9月27日(木)19時〜 大阪・ドーンセンター
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