2018年09月21日 1543号

【1543号主張 総裁選で改憲加速狙う安倍 阻む展望は東アジアの平和】

戦争のための改憲策動

 9月7日、自民党総裁選が告示された。20日に自民党議員・党員による投票が行われる。立候補した安倍首相は、政策集にあたる「所見」の中で、憲法に「自衛隊」を「明記」する形で「次の国会に党として改正案を提出」することを掲げた。この点について3日、安倍は自衛隊幹部を前に「すべての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える」「私はその責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べた。自衛隊は戦争法の下で集団的自衛権を行使できるようになっており、憲法への明記でこれを合憲とすることが狙いである。

 安倍は、震災対応を口実に政策論戦も逃げ、とにかく総裁選で多数を獲得し、秋の臨時国会への改憲案提出をもくろむ。集団的自衛権の行使=戦争へのフリーハンドに大きく踏み出す憲法9条の破壊を許してはならない。

東アジアの対話進展

 改憲策動は、対話・互恵の関係が進展している東アジアの歴史的流れに逆行する。

 朝鮮半島では対話が進んでいる。9月5日、韓国特別視察団が訪朝し、鄭義溶(チョンウィヨン)大統領府国家安保室長らが金正恩(キムジョンウン)朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)国務党委員長と会談した。会談では、9月18日から20日、平壌(ピョンヤン)で南北首脳会談を開催することが合意された。また、金委員長は、トランプ米大統領の第1期目の任期中に、70年間の敵対の歴史を清算し朝米関係を改善するとともに非核化を実現したい考えを表明した。具体的な時期にまで踏み込んだ発言に関して、トランプ政権は南北対話の進展を注視している。こうした動きをもたらしたのは、朝鮮半島の平和を求める韓国市民の運動・世論であり、米中間選挙を前に広がる反トランプの運動・世論だ。

 日本政府が今行うべきは戦争のための改憲・軍拡ではない。平和主義を放棄する改憲は東アジアの軍事的緊張を高める。これに執着する安倍政権の姿は世界から見れば異様であり、国際的に孤立している。日朝対話・6か国協議の再開、日中対話の進展を通じた平和・軍縮・互恵の東アジア構築への外交努力こそが必要とされている。

沖縄連帯、知事選勝利へ

 世論は安倍の改憲策動を支持していない。JNNの世論調査(9/1〜9/2実施)では、臨時国会に自民党の改憲案を提出するという安倍首相の考えに「賛成」と答えた人は26%、「反対」は53%。自衛隊の存在明記の改憲案については「支持する」39%、「支持しない」47%だ。

 重要なのは市民の運動だ。沖縄辺野古新基地建設に反対する闘いに全国の連帯を強めよう。9月9日投開票の名護市議選では、新基地反対議員は過半数で民意は新基地にNOだ。渡具知(とぐち)市政に反対する野党は1人減らしたものの与野党同数。30日投開票の沖縄知事選では、翁長(おなが)知事の遺志を継ぐ玉城(たまき)デニー予定候補を何としても勝たせなければならない。この勝利は、辺野古新基地を自衛隊・米軍の海外派兵基地に位置づける安倍政権に痛打を与える。同時に、安倍9条改憲NO!3000万署名とともに「東アジアの平和を求める署名」を全国で拡げ、改憲反対、東アジア平和の圧倒的な世論をつくりだそう。

  (9月10日)
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