2018年09月21日 1543号

【支援打ち切り方針の福島県と意見交換会 京都 一人の避難者も路頭に迷わすな】

 福島原発事故から7年半。福島県は区域外避難者に対する支援を来年3月で打ち切るという。避難者支援の仕組みづくりをめざす「避難の協同センター」と京都で避難者支援に取り組む「うつくしま☆ふくしまin京都」が9月9日、京都市内で福島県の担当者と意見交換会をもった。「1人も路頭に迷わせない」と避難者、支援者から切実な訴えが続いた。

 県の担当者は「民間住宅家賃補助、国家公務員宿舎借り上げなどの打ち切り方針に変わりはない」と淡々と語った。「なぜ来年3月限りなのか」の問いに「経過措置として実施していたもの」。打ち切りは既定の方針と素っ気ない。経過措置は、避難者の生活実態を把握し、必要な措置を講じるためだった。だが、県は実態把握を終える前に、打ち切り方針を決めた。

 国家公務員宿舎に入居している母子避難者は「手取り12万円程度の収入で、子どもの教育費も必要。民間賃貸住宅の家賃を払えるだけの余裕はない」と3月末で退去できない実情を訴え、宿舎借り上げの延長を要請した。他の避難者も経済的支援がなければ立ち行かない現状を訴えた。滋賀県に避難している男性は、一度も生活実態の調査を受けたことがないと指摘。「避難者には自分の生活を再建し、復興することはできないのか」と声を荒げた。県職員が「生活困窮者は生活保護につなげた」と回答したのに我慢がならなかった。「なぜ避難者は、事故前の生活を取り戻すことができないのか」との怒りだった。

 国家公務員宿舎の延長は、県が要請すれば国は検討するという。福島県が支援継続を決断すれば、国も、避難先自治体の支援施策も続く。県の姿勢が厳しく問われる。

 「避難当初、市営住宅に入居できたが、市職員の対応はとても冷たかった。だが、交渉を重ねる中で、とても親身になってくれた」と自らの権利を譲らず、行政交渉した成果を避難者は語った。避難者の生の声を聞く必要性を諭した。県の職員は「今日聞いた話は、上にあげる」と答えるのが精いっぱいだった。

 国際的な基準である「国内強制移動に関する指導原則」には、避難者の尊厳ある生活を保障する責任と義務が自治体にあることを改めて県職員にも確認させた。来年3月まで半年。1人でも切り捨てられる避難者があってはならない。神奈川でも同様の意見交換会が計画されている。

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