2018年10月05日 1545号

【1545号主張 9・19平壌共同宣言支持 戦争のない朝鮮半島の始まり】

南北の終戦宣言

 朝鮮半島に「後戻りなしの平和」への道筋が示された。

 9月19日、韓国文在寅(ムンジェイン)大統領と朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)金正恩(キムジョンウン)国務委員長は、平壌(ピョンヤン)で3度目の南北首脳会談を行い、「9月平壌共同宣言」を発表した。

 朝鮮戦争で直接戦った韓国・朝鮮の事実上の終戦宣言である。東アジアの平和構築を大きく前進させるものとして支持し、歓迎する。

 共同宣言は、非武装地帯など対峙地域での軍事的敵対関係の終息を「朝鮮半島全域の実質的な戦争脅威の除去と、根本的な敵対関係解消につなげる」とした。さらに付属文書「板門店(パンムンジョム)宣言軍事分野合意書」で、「南北が恒久的で強固な平和を保障する」ため、6項目22点の措置が合意された。理念としての軍事的緊張緩和宣言にとどまらず具体的な措置を挙げた点は画期的だ。まさに韓国と朝鮮の戦争終結・実質的和平実現への決意というべきものだ。

 また、非核化へ向けては、朝鮮が東倉里(トンチャンリ)エンジン試験場とミサイル発射台を永久廃棄し、米国の「相応の措置」を条件に、「寧辺(ニョンビョン)核施設の永久的廃棄」など「追加的な措置」も明記。南北が「緊密に協力」していくことも新たに書き込まれた。これらの合意は、南北が共同して朝鮮半島非核化実現に向けた決意と具体的措置を示したものだ。

 この会談を受け、トランプ米大統領は「多くの進展があった」と歓迎し、ポンペオ米国務長官は2回目の米朝首脳会談のために訪朝すると表明した。戦争勢力の妨害による米朝交渉の膠着(こうちゃく)を打開したのは、圧力でなく平和を望む民衆の意思に後押しされた対話だ。東アジアの平和の流れは、米朝首脳再会談から揺るぎのない平和の実現を可能とするところにまで来た。

安倍の妨害は許さない

 9月20日、自民党総裁選挙で安倍首相が3選されたが、党員票では55%の得票にとどまった。当初もくろんでいた「圧勝」にはほど遠く、自民党員にさえ不信感が強いことが明らかになった。安倍政権の終わりの始まりだ。

 しかし、安倍は「秋の臨時国会に改憲案を提出」の意志を崩さず、9条改憲を最大の課題としている。その安倍にとって朝鮮半島での平和の進展は邪魔で仕方がない。

 共同宣言に対して、菅官房長官は「重要なことは米朝合意の完全・迅速な履行」と冷淡に突き放し、マスコミも「核放棄決断したととらえるのは早計」(読売)などと敵対関係をあおる。自衛隊が8月に南シナ海の公海上で、東アジアでの緊張を激化させる極秘の軍事訓練を行ったことも明らかになった。和平進展への妨害行為はただちにやめさせなければならない。

民衆連帯で東アジア平和へ

 朝鮮半島情勢の歴史的転換を受けて、日韓民衆の連帯で戦争勢力を追放する時だ。

 市民の運動が平和への道を切り拓く。東アジアの緊張を口実とした自衛隊強化も辺野古新基地もいらない。9月30日投開票の沖縄知事選に全力で奮闘する玉城デニー候補とともに新基地を阻止しよう。

 安倍9条改憲NO!3000万署名と「東アジアの平和を求める署名」を今こそ全国で拡げよう。改憲反対、東アジア平和への圧倒的な世論をつくりだそう。

  (9月23日)
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