2018年10月05日 1545号

【ひらかたNPOフェスタ2018で 『東北朝鮮学校の記録』上映会 日本社会の在り方を問う】

 9月9日、大阪・枚方(ひらかた)市内での「ひらかたNPOフェスタ2018」で『東日本大震災 東北朝鮮学校の記録 2011.3.15〜20』上映会を写真展「本当のオキナワ・フクシマ」とともに取り組んだ。

 この映画は、震災で校舎が全壊した東北朝鮮初中級学校(仙台市)に対し、日本行政からの支援が皆無の中、全国の在日同胞から送られてきた支援物資で地域の日本学校に差し入れや炊き出しを行う…など震災を生き抜いた姿を記録したもの。上映会当日は朴敦史(パクトンサ)監督のお話も聞けた。

 私が映像を初めて観たのは、震災の年、完成直後の上映会。「全国から届く支援物資を自分たちは2食にして、1食分を近隣の日本人に配った」という事実が頭を離れなかった。一方、行政(宮城県)は同年4月、朝鮮学校への補助金を打ち切ったということも。

 今年この映像を上映したのは、朝鮮問題をめぐる日本社会の深刻な状況からだ。6月12日の米朝会談はアメリカと朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の戦争状態から終戦―平和協定につながる歴史的な出来事だった。しかしその後のマスコミ報道は「核廃絶の具体的な日程が出されていない」など、なお朝鮮バッシング≠ホかりだ。軍事力ではなく対話で平和の流れを大きくすべき時に日本政府は全く逆行。イージス・アショアの購入など軍事力増強の口実にしようと「北朝鮮は信用できない」と不信を煽り立てている。

 そうした流れの中に朝鮮学校への「高校授業料無償化」除外がある。さらに、各自治体による補助金カットの動きも加速し、枚方市でも2017年4月、城北朝鮮学校への年30万円の補助金を打ち切った。残念なことに、補助金カット問題でも「いやなら朝鮮に帰ったらええやん」の反応が少なからずある。朝鮮学校が大阪にもあり、まして枚方からも通ってる子どもがいることなどほとんど知られていないのが現実だ。

 大災害に行政が朝鮮学校には給水車すら派遣しなかった中で、東北朝鮮学校という隣人≠ェとった行動をぜひ知ってほしい。マスコミが報道しなかった真実をまず知ることが、今の日本社会を見直し、不信と差別を克服していくきっかけになると思った。

 朴監督は「震災から7年たった今も、行政の支援を得られず校舎の再建はならず、ついに寄宿舎をリニューアルして校舎として使っている」と現状を語った。また、「9月4日の台風では大阪の朝鮮学校が被災し、幼稚園の子どもたちはほかの学校を借りている。朝鮮学校は耐震工事などできないままに置かれている」ことにも触れた。

 大阪でも9月27日高校無償化裁判控訴審判決がある。朝鮮学校の置かれた現実は、日本社会の在り方を問うているのではないだろうか。

(イラク平和テレビ局in Japanひらかた・手塚美子)



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