2018年10月26日 1548号

【ジェンダー平等に逆行する安倍改造内閣 国際連帯で女性の権利拡大を】

これが安倍「女性活躍」?!

 第4次安倍内閣は、ジェンダー平等、女性の権利拡大の視点から見ても、歴代内閣以上にとんでもない内閣である。

 安倍首相は、麻生財務相を留任させ、官僚のセクハラの事実をなかったことにし何の責任も追及せずに終わらせようとしている。女性の閣僚は片山さつきただ一人。地方創生相と女性活躍相を兼ねることにも、看板≠セったはずの「女性活躍」の軽視ぶりが見える。この片山は、若者の貧困問題を取り上げたNHK番組について「スマホを持っている女子高校生は貧困ではない」と批判した人物だ。夫婦別姓に反対し「家族の助け合い」を盛り込んだ憲法改悪運動を進める日本会議のメンバーで、「『(日本軍)慰安婦』は、『性奴隷』ではない」と公然と主張していた。「セクハラを根絶する」と語る資格など到底ない。

 ジャーナリストで自らの性暴力被害を告発した伊藤詩織さんが「残念ながら、日本においては、#MeToo(性暴力やセクハラを告発する運動)が『自分たちの問題』として幅広く共有されている実感はありません」と指摘するとおりである。内閣府男女共同参画局自身が紹介する「ジェンダーギャップ指数」(各国の社会進出における男女格差を示す指標、世界経済フォーラム発表)は年々下がり続け、2017年度では144か国中、114位まで落ちた。

国際水準へのたたかいを

 セクハラや性暴力の被害が後を絶たず、被害者が声を上げられない社会を変えて行くためには、国際的な運動と連帯し、日本を国際水準に引き上げていかなければならない。

 国連の女性差別撤廃条約(1979年)は、あらゆる分野において女性がジェンダーによる差別を受けない権利を定めている。日本も85年、この条約を批准しているので、政府には、差別の撤廃、女性の地位向上を確保し、ジェンダー・ステレオタイプ(性別に基づく固定観念)などを禁止する義務がある。

 さらに99年、女性の権利の保障を確実にするために、同条約選択議定書が採択された。選択議定書は、個人または集団による通報と調査の2つの手続きを定める。通報は、女性差別に関して、自分の国の裁判所などで解決できず納得できない場合でも、女性差別撤廃委員会に救済の申し出ができる制度だ。現在109か国が批准。日本はまだ批准していない。これ一つを見ても、女性への差別や暴力を本気でなくそうとしているのか、大いに疑問を感じる。

 私たちOPEN(平和と平等を拓く女たちの絆)も、他の多くの女性団体とともに前通常国会にも早期批准を求める要望署名を提出してきたが、引き続き取り組んでいかなければならない。

#MeTooは世界中に

 #MeTooのムーブメントは、今世界中で大きなうねりになっている。

 最初に広がった米国では、9月シカゴなど10都市でマクドナルドの労働者がセクハラ撲滅のストライキ。トランプが指名したカバノー最高裁判事候補を性暴行被害者が実名で告発し、数千人規模の抗議行動が繰り広げられた。

 韓国では、性暴行で裁判にかけられていた安熙正・(アンヒジョン)忠清南道(チュンチョンナムド)前知事に8月、無罪判決が出され、ソウルでは2万人の大抗議集会が行われた。韓国での性暴力を告発する運動の始まりは90年代、日本軍性奴隷制の被害者、金学順(キムハクスン)さんの証言だ。以来、家父長制の重圧に抗し、女性の人権を訴えてきた歴史がある。民衆のろうそく革命の闘いを経た今年1月、現職女性検事がセクハラを告発したことを契機に、韓国でも#MeToo運動は大きく広がっている。

 こうした国際的うねりに、私たちは#MeToo運動への確信と希望を感じている。

 OPENは、維新・橋下徹前大阪市長の「慰安婦」暴言抗議を発端に作られたネットワーク「おんな・こどもをなめんなよ!の会」が主催する「セクハラを許している社会を変えよう!」の企画への参加を呼びかけている。性暴力やセクハラをなくすために何ができるか、共に語り合い、行動に立ちあがる場としたい。

(OPEN・山本よし子)

◆「セクハラを許している社会を変えよう!」 10月27日(土)13時30分開始/エルおおさか(地下鉄・天満橋)/問題提起 岡野八代さん(同志社大学大学院教授)他

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