2018年10月26日 1548号

【韓国・沖縄から報告】

 命どぅ宝団結まつりと前夜祭での沖縄平和市民連絡会・北上田毅さん、韓国ソソンリでサード配備阻止を闘うキム・ヨンジェさんの発言を編集部の責任でまとめました。

サードを引っこ抜き、平和を植えよう

 ソソンリは人口100人あまりの小さな村。そこに300〜400人の警察官が24時間駐留し、住民を監視している。

 韓米当局は「北のミサイルを防ぐため」と強弁するが、サードの効果はない。朝鮮半島情勢は軍事的緊張が最も高まった1年前から劇的に変化し、平和の波が押し寄せている。サードは不要だ。

 サードの本当の狙いは、東北アジアミサイル防衛網を完成させ、NATO(北大西洋条約機構)のような軍事同盟に進むこと、韓米日主導で東アジア多国間軍事同盟の出発点にすることにある。

 昨年9月ソソンリで、配備を阻止しようとする500人の市民に1万人の鎮圧警察が襲いかかった。激しい抵抗で18時間も搬入を阻止した。失神60人、病院搬送30人を出す熾烈な闘いののち、サードは配備された。

 それから1年。決して諦めてはいない。サード基地内への油や資材の搬入阻止を闘っている。公権力の物理的な数の力にはほとんど負けてきたが、頭をしぼり、闘い方を考えた。警察が襲ってきたら、自分たちを守ることに徹した。すると、警察は帰っていく。勝利を経験し、闘えば勝てることが確信できた。

 朝6時30分から夕方まで毎日欠かさず、平和行動を繰り広げている。サード基地正門から1`の地点で道路を塞がれていたが、粘り強い闘いで正門前まで押し返した。

 平和は軍事力では達成されない。われわれの手によってのみ達成される。3つの条件が必要だ。第1に、現場で決意に満ちた闘争を粘り強く続ける。第2に、あらゆる合法的手段を動員し、一般国民に真実を知らせ、世論をつくる。第3に、政治権力に左右されず、平和に向かう動きを自らが主導的に推し進め、主権国家として堂々と平和を要求していく。

 米国という強大国とともに戦争国家を志向する安倍政権の欲望をみなさんの手で解体し、平和を最高の価値とする正常な国家をつくってほしい。

 サードを引っこ抜き、平和を植えよう。トモニヘイワ!


辺野古新基地建設は必ず頓挫する

 玉城デニーさんが勝利し、胸を張って東京に来れた。

 圧勝の要因は4つある。第1に、沖縄県民の辺野古新基地に対する強い反対の意思。第2に、命を削り撤回を表明した翁長知事への追悼。第3に、「誰一人取り残さない」をキャッチフレーズにしたデニーさんの人柄と言葉の力。第4に、特筆すべきこととして、勝利が確定したあと翁長さんの次男、雄治(たけはる)さんを先頭に琉球大や沖縄国際大、名桜(めいおう)大の学生たちがカチャーシーを踊る姿に象徴される若者たちの奮闘があげられる。

 デニーさんの勝利で辺野古新基地建設の頓挫は目の前に見えてきた。8月31日の沖縄県による「埋め立て承認の撤回」から1か月半、政府は何の対応もしていない。工事再開のために裁判と同時に撤回の「執行停止」を申し立てても、行政事件訴訟法では執行停止は「緊急の必要」が要件になっており、司法が認めることは困難だ。

 裁判に負けたとして終わりではない。デニー新知事は数々の知事権限を行使できる。

 N値ゼロ(N値は重さ63・5`の試験杭を75aの高さから落下させて、土中に30a打ち込むのに必要なハンマーの打撃回数。ゼロは杭を置いただけで地中に沈んでしまうことを示す)の軟弱地盤は、大浦湾のケーソン護岸だけでなく、護岸内側の埋立区域も広がっている。N値11とした工事設計の前提は根底から覆った。必須となる軟弱地盤の改良工事は設計変更にあたり、公有水面埋立法に基づく知事の承認がないと工事はできない。辺野古側の浅瀬にいくら護岸をつくっても、大浦湾側の工事のめどは全く立っていない。

 また、埋め立てに使う県外の土砂については、2015年施行の「埋立用材に関わる外来生物の侵入防止に関する条例」により知事は特定外来生物を調査し、発見された場合は駆除を指示し、駆除できなければ搬入中止を勧告できる。石材ならともかく土砂(岩ズリ)の洗浄は不可能。防衛局は高熱処理の実験中だが、1644万立方bもの土砂の高熱処理はできない。

 さらに、辺野古基地の是非を問う県民投票で圧倒的な県民の支持が得られれば、「要件事実消滅型」「制裁型」の撤回に加え、「公益・政策変更型」の撤回が改めて可能になる。

 知事選の圧勝で県民は力を取り戻した。知事権限を剥奪する特措法の検討は許されるはずがない。その他、活断層の存在や周辺の建築物の高さ制限問題もある。政府の「普天間の危険性除去には辺野古が唯一の解決策」との主張も揺らいでいる。米政府は「(1800b滑走路2本の)辺野古新基地では確保されない長い滑走路を持つ施設(3000b滑走路の那覇空港を想定)の提供がない限り普天間は返さない」と2度も言明した。

 ゲート前では苦しい闘いが続いていた。しかし、これからは違う。私たちにははっきりとした勝利の展望がある。沖縄県民は絶対に負けない。

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