2018年11月02日 1549号

【1549号主張 民主主義否定する撤回停止申立て 辺野古新基地は造れない】

民主主義破壊の暴挙

 「勝っても負けても安倍政権は沖縄に襲いかかるだろう」(10/6、山城博治沖縄平和運動センター議長)。その言葉通り、安倍政権は沖縄知事選で明確に示された民意を踏みにじり、辺野古埋め立て承認撤回に対する審査請求と執行停止申し立てという暴挙に出た。玉城(たまき)デニー新知事誕生から17日後、玉城知事と安倍との会談からわずか5日だ。民意にも、新知事の要求にも応える気がない安倍は、反民主主義の独裁者であり退陣以外にない。

 岩屋毅(たけし)防衛相は「やむを得ずやらざるを得ない措置」と説明する。これに対し玉城知事は「基地は要らないという県民の思いにぶれることなく応えたい」と辺野古新基地阻止への決意を示した。安倍が仮にも「沖縄に寄り添う」と口にするのなら、新基地建設に向けた手続きはただちに中止するのが当然だ。

違法行為で建設不可能

 安倍政権が行った行政不服審査法に基づくこの対抗措置は、本来、公権力行使の不当性を訴え被害の回復を求める手続きだ。公権力以外の者を救済する法律であり、政府が使うことなどできない。法の趣旨を逸脱、破壊する違法行為であり、言語道断だ。

 安倍政権は、翁長雄志(おながたけし)前知事が埋め立て承認取消処分を行った2015年にも同じ手続きを強行した。これ以外、打つ手がないことの反映であり焦りの表れだ。

 基地建設は工程上の困難にも直面している。物を置くだけでも沈下していくマヨネーズ状の超軟弱地盤には、特殊な工法で数千本もの砂杭(すなぐい)が必要だが、それでも建設可能かどうか未知数だ。工法変更には知事の許可が必要で、玉城知事が許可しなければまったく進まない。その間も辺野古では市民による座り込み阻止行動が連日続く。「1日千人が辺野古に集まれば工事は阻止できる」(山城議長)

 一時は選挙で連敗が続いたオール沖縄勢力も、知事選圧勝で体勢を立て直した。10月14日の豊見城(とみぐすく)市長選では基地容認派から市政を奪還。21日、那覇市長選でもオール沖縄が推す城間幹子市長がダブルスコアで2期目の当選を決めた。市民の闘いと県、市町村、それを支える民意がある限り、辺野古に基地は造れない。

改憲阻止し安倍倒そう

 沖縄の闘いに追い込まれている安倍は、10月24日招集の臨時国会で改憲案の提出を狙う。だが改憲勢力の間でも改憲案はまとまらず、自民案の説明にとどまる。玉城圧勝の沖縄知事選で公明党支持母体・創価学会からは造反が続出。自公維新の「勝利の方程式」を崩壊させた沖縄の不屈の闘いは全国に波及する。

 10月の内閣改造後、新内閣で「期待上昇」との回答はわずか8%にとどまった(10/8毎日)。わずか1人となった女性閣僚は早くもスキャンダルで立ち往生だ。民意の安倍離れは続いている。全国の市民が沖縄県民のように不屈の意思で闘えば、辺野古新基地建設も改憲も阻止し、安倍を倒すことができる。

 米朝首脳再会談開催は揺るがず、東アジア平和の動きも立ちはだかる。どこから見ても安倍に未来はない。沖縄・韓国民衆と連帯し、3000万署名、東アジアの平和を求める署名を地域に広げ、退陣を迫ろう。

  (10月21日)
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