2018年11月02日 1549号

【新基地阻止 国による「私人」なりすまし 撤回の停止申立ては違法だ 那覇市長選もオール沖縄圧勝】

民意も対話も否定

 またしても安倍政権は沖縄に襲い掛かってきた。

 10月17日、沖縄防衛局は、県による辺野古新基地建設工事の埋め立て承認撤回を受け、石井啓一国土交通相に対して行政不服審査法に基づく審査を請求し、処分が出るまで撤回の効果を止める執行停止を申し立てた。

 辺野古新基地阻止をめざす玉城(たまき)デニー知事を県民は大差で選択した。12日には首相官邸で玉城知事が安倍晋三首相に対話による解決を求めたばかり。そのわずか5日後の出来事だった。それは、2016年7月、参院選沖縄選挙区で自民党現職の沖縄担当大臣・島尻安伊子を10万票の大差で伊波洋一さんが破り初当選した10時間後、県警機動隊が高江ヘリパッド建設のためにメインゲートを強行突破したことを想起させた。

 玉城知事は、国の撤回停止申立てに対し同日県庁内で会見し、「民意に対する現政権の向き合い方はあまりにも強権的だ」と批判。国民の権利救済が目的の行政不服審査制度を悪用し「制度の趣旨をねじ曲げており違法。法治国家にあるまじき行為だ」と激しく糾弾した。

 翁長雄志(おながたけし)前知事が急逝直前に埋め立て承認の撤回を表明し、8月31日その遺志を引き継いで沖縄県はついに撤回に踏み切った。そして9月30日知事選で県民は、辺野古新基地反対、埋め立て阻止、承認撤回支持という圧倒的意思を改めて示した。しかし、国は対話要求を拒否し、工事再開のために撤回停止を突き付けてきた。民意がこれほど明確に示された中で、埋め立てを強行しようとするのは民主主義を踏みにじる暴挙としかいいようがない。

政府内で「自作自演」

 撤回に対する国の出方についてはさまざまな場合を想定していたが、那覇市長選の最終局面「三日攻防」の前日10月17日に法的対抗措置で挑んでくるとは想像できなかった。国の強硬策は県民感情を逆なでする。那覇市長選は敗退と自民党サイドは踏んでいたとの報道もある。

 今回の、行政不服審査法に基づく、国土交通相に対する撤回処分の審査請求と執行停止申し立ては、本紙第1547号3面の「違法の工事継続は許されない」記事のように法律上大きな問題をはらんでいる。2016年4月の改定行政不服審査法施行で、国や自治体への処分が適用外であることが明記された。国が本来の救済対象である「私人」になりすますことは許されず、明らかに違法・不当だ。

 沖縄防衛局と沖縄県、つまり国と地方自治体が争っているにもかかわらず、同じ政府内の防衛省が国土交通相に適否の判断を求めること自体が茶番だ。玉城知事が国による「自作自演」と厳しく批判するのは全く当然だ。

基地建設は必ず頓挫

 今後、県は10月25日までに石井国土交通相に撤回処分の正当性を訴え「執行停止」を認めるべきでないとする意見書を提出する予定。撤回取り消しを求める「審査請求」には、11月20日までに弁明書を提出する構えだ。工事再開を前のめりで狙う安倍政権は、10月末にも「執行停止」を認めさせることも考えられる。

 その場合、沖縄県は、国地方係争処理委員会に不服申し立てを行うとともに、行政事件訴訟法に基づき執行停止の取り消し訴訟を提起する展開となる。同時に、ゲート前や海上の現場では工事再開を見すえ阻止行動で立ち向かう。

 しかし、裁判闘争が始まろうが、辺野古新基地建設計画はいずれ頓挫することは疑いない。玉城デニー知事が誕生したことで、超軟弱地盤の改良工事など設計概要の変更申請を知事が認めなければ本格的な工事はできない。多額の国税を無駄に使い豊かな大浦湾を破壊する新基地建設工事は一刻も早くやめさせなければならない。安倍政権打倒こそがいま最も求められている。


城間勝利で3連勝

 「ミキィティーコールいきます。イチ、ひとしー。ニ、デニー。サン、みきこー。これで3連勝!」。10月21日、県都那覇の市長選投開票が行われ、2期目をめざすオール沖縄の城間幹子現市長が、自民・公明・維新・希望が推す翁長政俊前県議を大差で破った。午後8時投票終了と同時に当選確実≠マスコミが流す「ゼロ打ち」。ダブルスコアの圧勝だ。9月30日玉城デニー勝利、10月14日豊見城市長選山川仁(ひとし)さん勝利に続き、オール沖縄は3連勝した。

 城間選挙で若者たちが広めた「ミキティー・コール」。城間さんの教員時代、子どもたちが付けたニックネームがミキティー。みきこ先生(ティーチャー)という意味だ。豊見城市長ひとしさんの1=A県知事デニーさんの2≠加え、一、二の三の3本指が勝利を引き寄せた。

 オール沖縄の政治団体「ひやみかち うまんちゅの会」会長で、県内トップ企業の一つの金秀(かねひで)グループ会長・呉屋守将(ごやもりまさ)さんは、選挙戦の後半で訴え続けた。「この選挙、自公の相手候補が敵ではありません。首相官邸との闘いです。個人を救済するための行政不服審査法を使って、撤回を停止させるような法律違反の政府を断じて許せません。翁長知事の遺志は辺野古新基地を造らせないこと。みなさんそうでしょう」

 玉城デニー知事の誕生で沖縄県民は息を吹き返した。元気に満ちあふれている。安倍政権との闘いで県民が一つになるためにしっかりと団結を固め始めた。沖縄のように闘えば勝てる。今度は本土で、安倍政権に激震が走る闘いをつくろう。     (N)

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