2018年11月09日 1550号

【1550号主張 東アジア平和に逆行する安倍改憲 自民党案提出は許さない】

所信表明で改憲宣言

 10月24日、第197回臨時国会が始まった。安倍首相は、所信表明演説で「憲法審査会で政党が具体的な改正案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねていく」と述べ、自民党改憲案の国会提出に強い意欲を示した。19日には、自民党憲法改正推進本部の下村本部長が公明党の北側憲法調査会長と会談。改憲手続きを定める国民投票法「改正」案の臨時国会での成立を目指す方針を確認している。

 憲法に自衛隊を明記する自民党改憲案は、戦争法で可能とされた集団的自衛権の行使=戦争へのフリーハンドを合憲化するものだ。国会提出を許してはならない。

東アジアの緊張緩和

 安倍政権の改憲策動は、平和・互恵の東アジア構築へ進む歴史的流れに逆行する。

 朝鮮半島では、南北間で対話と軍縮に向けた措置が進んでいる。10月25日までに、南北の軍事当局及び国連軍司令部の三者は、板門店の共同警備区域(JSA)からすべての武器や弾薬などの撤収を完了した。JSAの非武装化は、9月に締結した「軍事分野合意書」に含まれていたものだ。非武装化完了後のJSAでは、南北各35人の非武装要員が警備にあたることになる。また、毎年12月に実施されてきた韓米合同の大規模空中演習ビジラント・エースの実施が見送られることになった。

 緊張緩和の流れを支えるのは、平和を願う民衆の力だ。韓国ソソンリのサード(高高度迎撃ミサイル)配備反対など民衆の闘いであり、中間選挙を前にトランプ政権を追いつめる米国民衆運動である。

 日中間では、安倍首相が日本の首相として7年ぶりに中国を公式訪問。10月26日に習近平(シーチンピン)国家主席、李克強(リーコーチアン)首相と会談を行い、青年の相互交流、海難救助の際の協力、朝鮮半島の非核化に向けた連携などが合意された。安倍は「パートナーであり互いに脅威とならない」と語らざるをえなかった。これは、執拗(しつよう)に「中国の脅威」をあおるという、軍拡と改憲をすすめるための口実を掘り崩すものとなる。

 日本政府が行うべきことは、アジアの軍事緊張を高める軍拡・基地強化や改憲ではない。日朝国交交渉や日中対話の一層の促進を推し進めることだ。

市民の力で改憲止める

 安倍9条改憲を止めるのは市民の運動の力だ。

 沖縄では、辺野古新基地反対のオール沖縄勢力が知事選、豊見城(とみぐすく)市長選、那覇市長選と3連勝。10月26日には、新基地建設の賛否を問う県民投票条例が県議会で成立した。国は工事再開を急ぐが現地の座り込みも続く。県民の新基地阻止の意思は揺るがない。

 国会開会とともに改憲反対の行動が展開され、11月3日には国会前、全国で大規模な行動・集会が行われる。各世論調査でも、臨時国会での自民党改憲案の提出には反対が賛成を上回る。世論の圧力で、与党公明党も改憲案提出には容易に賛成できない。

 韓国、沖縄民衆と連帯し、3000万署名、東アジアの平和を求める署名を地域で広げよう。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける12月スピーキングツアーには、韓国現地でサード配備と闘う市民が来日する。運動の力で圧倒的世論をつくり出し、安倍改憲を阻止しよう。

  (10月28日)
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