2018年11月09日 1550号

【原発避難者の住宅と人権保障を/一人も路頭に迷わせないと共同行動】

記者会見/「共同アピール」を発表

 原発事故避難者への住宅提供・支援策打ち切りが来年3月に迫っている。10月24日、参院議員会館で「原発避難者の住宅と人権保障を求める共同行動」(記者会見と政府・福島県交渉)が行われた。

 主催は「避難の権利」を求める全国避難者の会とひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)。避難者の人権を回復する緊急措置8項目要求=「共同アピール」を発表し、一人も路頭に迷わせない決意を新たにした。

 記者会見はひだんれん共同代表の武藤類子さんが司会。同幹事の村田弘さんの経過報告に続き、京都訴訟原告団共同代表の福島敦子さんは「京都のウトロ地区では30年間、国際人権規約社会権規約11条に基づき『強制立ち退きは原則として違法』の立場で闘い続けてきた。私たちは学び継承したい。福島県は『こころの問題』『貧困の問題』に解消せず、3月までに移動が困難な避難者には住宅提供・支援の継続措置を」と訴えた。

 武藤晴男さん(津島訴訟原告団事務局長)は「帰るところも仕事もまだはっきりしないというのに」、長谷川克己さん(全国避難者の会)は「(支援策の)2年間で自立してもらうという考えは、それが困難な人は自己責任になるのか」と怒りをぶつけた。

 連帯のあいさつは「さようなら原発1000万人アクション」の鎌田慧さんと「反貧困ネットワーク」の宇都宮健児さん。「反原発運動が被害者切り捨てへの対応に遅れたのは申し訳ない」(鎌田さん)「被災者が人間としての『復興』を果たさない限り、本当の『復興』にはならない」(宇都宮さん)と語り、「共同アピール」への賛意を表明した。

政府・福島県交渉/口先だけの対応を追及

 交渉は山崎誠衆院議員(立憲民主党)を進行役に、子ども・被災者支援議員連盟の国会議員や山形追い出し訴訟の武田徹さん、住宅裁判を準備する会の熊本美彌子さんら15人の避難当事者が財務省・復興庁・国土交通省・福島県の職員とやり取りした。

 福島県や復興庁は「様々な事情があることは承知している」としながらも新たな支援策は示さず、「戸別訪問・相談会で具体的に対応したい」と繰り返した。避難の協同センターの瀬戸大作事務局長は全国26拠点での相談例を取り上げ、「寄り添うとは口だけ。『傾聴』しても経済支援がなければみなさん行き詰まる」と危機感をあらわにした。

 国土交通省は「公営住宅法の特定入居は住宅『滅失』が要件。罹災証明書などで個別的に特定入居扱いは可能だ」、財務省は「国家公務員宿舎の継続使用は、福島県から依頼があれば誠意を持って対応する」との見解を示した。

 共同行動として今後、「共同アピール」への賛同を11月20日をめどに集め、政府・福島県に提出する。11月27日午前に福島市で県交渉、午後「原発避難者をひとりも路頭に迷わせない!」緊急集会(福島市民会館)、夕方には福島駅前でアピール&スタンディングに取り組む。

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