2018年11月16日 1551号

【1551号主張 辺野古 執行停止も工事も違法だ 全国の連帯で土砂投入阻止】

身内の決定は取り消せ

 10月30日、石井啓一国土交通相は、防衛省による行政不服審査法に基づく申し立てを認め、沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回の一時効力停止を決めた。防衛省と国交省という政府機関同士の出来レースであり、「自作自演の極めて不当な決定」と玉城デニー知事は強い怒りを示す。

 行政不服審査法は、不当な公権力行使で権利・利益が侵害された国民を救済するための法律であり、国が使うものではない。国家機関による審査請求や執行停止申し立て自体が違法行為。違法手続きによる決定は効力を持ちえず、無効だ。効力停止にあたり国交相は「住民の被る危険性除去」を「理由」に挙げる。まったくの詭弁(きべん)に他ならない。

 沖縄県の承認撤回以降、工事はストップされていたが、政府・沖縄防衛局は11月1日、工事再開を強行した。2度の知事選で明快に示された沖縄県民の民意は「新基地ノー」だ。理不尽極まりない執行停止は取り消し、工事は中止する以外にない。

噴出する政府批判

 新基地阻止への県民意思は揺るがない。11月3日、オール沖縄が呼びかけた県民大行動で辺野古キャンプ・シュワブゲート前に1千人が集った。「民意を無視した工事強行は許せない」と訴え、手を取り合い「今こそ立ち上がろう」と決意を込め歌い上げた。

 玉城知事は、法廷闘争ではなく対話で解決をと、政府に対し1か月間の工事差し止めと対話に応じるよう求める。

 国の暴挙には、あらゆる立場から抗議が噴出している。全国の行政法研究者110人の声明に続き、沖縄県の研究者67人が防衛局に申し立ての取り下げを求めた。閣内一致を求められる国交相が審査することの不当性を指摘し、「地方自治を国の従属下に置く暴挙」「知事選で示された民意を国がここまで露骨に踏みにじることに研究者として黙っていられない」と憤る。

沖縄連帯を行動に

 法律を独断的に解釈し一方的に民意を無視する安倍政治。だが、無法の上に無法を積み重ねる行いは壁にぶちあたっている。

 安倍政権が総力挙げた知事選候補を過去最多得票で打ち負かして誕生した玉城県政。そのもとで、工事阻止の闘いに追い風が吹きはじめている。

 埋め立てに使用する土砂の搬出業者による本部(もとぶ)港護岸使用許可申請を本部町は11月1日、不受理とした。護岸の使用許可は町の受託事務だ。辺野古への海上からの土砂搬入は実質的に本部港経由のみで、土砂搬入ができなければ埋め立ては進まない。台風によって護岸は大きく破損し、「年内の復旧は難しい」。国への許可は無理だと本部町は明言する。

 政府は埋め立てを急ぎあきらめ感を作り出そうと躍起だが、玉城県政で建設工事を阻むハードルはさらに増えた。

 11月3日、国会前1万8千人、大阪1万2千人をはじめ全国の総がかり行動では、改憲阻止とともに沖縄への連帯が示された。世論調査では辺野古「移設」への政府姿勢を「支持しない」が54・9%と「支持する」34・8%を上回る(10/5共同)。世論も新基地ノーだ。現地の闘いに連帯する行動を全国に広げ、土砂投入を阻止し、工事即時中止を勝ち取ろう。

  (11月5日)
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