2018年11月16日 1551号

【東電刑事裁判 被告人質問終わる/旧経営陣 責任逃れに終始/現場検証の請求却下】

 福島原発事故で業務上過失致死傷罪に問われている東京電力旧経営陣3人の第33回公判が10月30日、東京地裁であり、勝俣恒久元会長に対する被告人質問が行われた。

 公判後の集会で、被害者参加人代理人の甫守(ほもり)一樹弁護士が報告。「最初に謝罪があったが、“全然悪いと思ってないな”という印象だ。責任を全部、原子力・立地本部に持っていこうとする。長期評価(=国の機関による津波地震予測)は事故後に初めて知った、とも。どうすれば事故を防げたと思うか、の問いには『正直分かりません』。知らぬ存ぜぬ、で通した」

 検察官役の指定弁護士は福島第一原発と周辺の現場検証を求めていたが、裁判長はこの日、却下した。河合弘之弁護士は「世界史上チェルノブイリと並ぶ大災害を起こして刑事事件になっているのに現場も見に行かない。どういうことか。どんな判決を書くにしても説得力がない」と厳しく批判。同時に「3人の被告人質問を通じ、部下が一生懸命考えた津波対策を『聞いてない』『知らない』とする彼らの供述と、記録に残った客観的事実との対立が明らかになった」と成果を強調した。

 福島原発刑事訴訟支援団副団長の武藤類子さんは「最高責任者であるという自覚がない。のらりくらりとかわし、聞くに堪えない答えばかり。最大のショックは、裁判所が現場検証をしないと決めたこと」と悔しさをにじませた。

 武藤栄・武黒一郎両元副社長を含め被告人質問は終了した。次回公判は11月14日。遺族が意見陳述する。

 厳正判決要求署名(累計3万941筆)をさらに広げ、各地で報告会を開こう。
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