2018年11月23日 1552号

【「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」結成/10・30韓国大法院判決を履行せよ/面談さえ拒否する新日鉄住金】

 11月11日都内で、「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」(以下「共同行動」日本)結成集会が開かれ、首都圏や愛知、京都、大阪、富山、広島、長崎などから80人が参加した。

 「共同行動」日本は、8月に韓国で植民地支配の清算と日本による謝罪・賠償の実現をめざして「強制動員問題解決と対日過去清算のための共同行動」が結成された(1543号6面参照)ことを受け、これと連帯する日本での取り組みを進めようと、企業責任追及裁判支援団体などが呼びかけていたもの。

 集会では、10月30日韓国大法院で新日鉄住金に元徴用工への賠償を命じる画期的な判決をかちとった弁護士2人が報告。「判決の核心は『植民地支配・侵略戦争遂行と直結した反人道的な不法行為』と認定したこと。新日鉄住金が自らの企業行動規範『各国の法律を遵守し、国際規範・文化等を尊重して事業を行います』に基づいて判決を迅速に履行するよう期待する」(金世恩(キムセウン)弁護士)「韓国内の新日鉄住金財産の差し押さえも可能だが、同社の協議意思が確認されれば協議手続きを優先する。被害者・遺族を対象に追加訴訟の説明会を年内に行い、集団訴訟代理人団も構成していく予定」(林宰成(イムジェソン)弁護士)と述べた。

 「日帝強制動員被害者人権財団設立法」制定に向け活動する崔鳳泰(チェボンテ)弁護士は「日本の世論が怖い。大本営発表をそのまま報道した戦前と全く同じ。新日鉄は97年に釜石製鉄所の元徴用工と和解し、2012年の株主総会では『判決が確定すれば従う』と明らかにした。解決できるはずだ」と強調。韓国「共同行動」運営委員長の金敏普iキムミンチョル)さん(民族問題研究所)は「大法院判決は被害者の権利を確定した。65年日韓請求権協定の法的体制が破産宣告を受けた。日韓だけでなくサンフランシスコ条約体制の破綻ではないか。東アジア全体に影響を与える」と指摘した。

 「朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動」の矢野秀喜さんが行動提起。大法院判決の正当性を訴え、被害者への謝罪・補償を実行させるため、(1)対政府行動(2)対企業(新日鉄住金・三菱重工)行動(3)メディア・世論対策―に取り組んでいくことが確認された。

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 翌12日、金世恩・林宰成両弁護士と金敏浮ウんは日本の支援者とともに、大法院判決に基づく賠償義務の履行方法と被害者の権利回復のための措置について協議を求めようと、東京・丸の内の新日鉄住金本社を訪れた。会社側は面談も要請書の受け取りも拒否。総務から警備員に宛てた伝言メモを通じて「判決は非常に遺憾。今後、外交交渉の状況を見極めていく」と門前払いする不当きわまりない態度に出た。



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