2018年11月30日 1553号

【韓国ソソンリ 「正式配備」発言に大統領府座り込み 「平和は来た、サードは出ていけ」】

 12月9日〜16日、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける「東アジアに平和を!武力なき平和のためのスピーキングツアー」が全国5か所で開かれる。この場に、THAAD(サード)(高高度防衛ミサイルシステム)強行配備に反対する韓国星州(ソンジュ)ソソンリ現地から、カン・ヒョヌクさん(円仏教星州聖地守護非常対策委員会教務)が参加し、連帯を訴える。今、ソソンリはどうなっているのか、ZENKO兵庫の松谷卓人さんに報告を寄せてもらった。

配備強行狙う国防部

 10月26日、韓国の国会法制司法委員会で、国防部長官が米軍サードについて「(配備についての)一般環境影響評価が終了したら、正式配備する手順を進める」と答弁した。これは、配備地のソソンリ、その北側に隣接するキムチョンなどでサードに反対する人びとにとって、断じて許されない発言であった。

 サードは、朴槿恵(パククネ)政権時代に配備が開始され、文在寅(ムンジェイン)政権に引き継がれた。文在寅政権も、一般環境影響評価が完了しないまま、大量の警察官を投入してサード配備を強行した。車両を阻止するために座り込んだ住民たちは「違法不法な工事を中断せよ」と体を張って抗議し続けたが、政府は「これは一時的な配備」と強行してきた。国防部長官の発言はその説明をひっくり返すものである。

 ソソンリでは、2年以上前から毎夜ろうそく集会を行い、毎週「水曜集会」「土曜集会」を開いてきた。車両を阻止するために毎日朝と夕方に座り込みを続ける姿は、沖縄の辺野古や高江の光景とも重なってくる。10月31日に「ソソンリ水曜集会」はちょうど100回目を迎えた。その日の集会は、国防部長官の発言撤回を求める抗議の記者会見の場にもなった。

喪服で抗議するハルモニ

 11月3日、ソソンリとキムチョンの住民たちはバス1台と乗用車2台に分乗して首都ソウルに行き、寒空の下、抗議の座り込み集会を続けた。おばあさんたちは「このままでは終わることはできない」と喪服を着て大統領府前の路上に座り込んだ。

 横断歩道から支援者たちが毛布や温かいスープを手渡そうとするのを警官が立ちはだかって妨害した。「もう文在寅を信じることはできない」と集まった住民と支援者たちは声を上げた。結局、大統領府との面談が実現し、夜遅くなってからおばあさんたちはスープ一杯を口にすることができたという。

 サード反対のスローガンは「サードは去れ。平和よ来い!」であったが、最近は「平和は来た。サードは出ていけ!」とも叫ばれるようになっている。進展する朝鮮半島情勢の中で、サードを撤去させることは可能であることを示すスローガンである。

 ソソンリのおばあさんたちはあきらめていない。

 ドキュメンタリー映画『ソソンリ』には、おばあさんたちの日常とサードに反対する思いが深く描かれている。ぜひ多くの方に鑑賞していただきたい。そして、さらに連帯を深めたい。

(ZENKO兵庫・松谷卓人)



 
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