2018年12月07日 1554号

【韓国サードも沖縄基地もいらない/日韓連帯スピーキングツアーで武器なき平和を】

問題は植民地支配

 韓国政府は11月21日、「慰安婦」問題の日韓合意(2015年)にもとづき設立された「和解・癒し財団」の解散を決定した。この合意は、被害者の頭越しの政治決着だった。安倍政権は「最終的、不可逆的解決」であり10億円を拠出したことを強調するが、それはカネで被害者を愚弄するものでしかない。
財団の解散は当然である。日本政府は戦時性奴隷制という日本軍「慰安婦」問題の本質を認め、歴史に誠実に向き合い、被害者に対する真摯な謝罪をしなければならない。

 しかし安倍首相は、謝罪どころか「解決済み」「国と国の関係が成り立たない」と、韓国大法院元徴用工判決に対する態度と同じ韓国批判を繰り広げている。戦時下の奴隷労働や性暴力という重大な人権侵害について安倍が謝罪しないのは、日本のアジア侵略や植民地支配の過ちを認めたくないからだ。排外主義的ナショナリズムを煽り、9条改憲・戦争国家づくりを正当化する安倍路線とは決定的に相いれないからである。

今に続く奴隷労働

 朝鮮半島や中国から動員された労働者が強いられた奴隷労働は1930年に採択された「強制労働禁止条約」に違反する。これは過去の話ではない。今国会の入管難民法「改正」案審議は、世界から「強制労働の温床」とみなされている外国人技能実習生制度の実態を浮かび上がらせた。「時給300円」「暴力・パワハラ」「旅券取り上げ」などの「奴隷・人身売買状態」が明らかになった。

 まだ隠された構造がある。企業の要請に応じて、技能実習生をあっせんする「監理団体」の存在だ。この団体は技能実習生一人当たり月数万円を受け取る。実態はまさに人材派遣業だ。最大の送り出し国ベトナムからの監理団体の中には、自民党二階幹事長などの大物政治家がトップに就いている。政府が、技能実習生の実態を隠そうとするのはこのためだ。まさに、70年以上前の日本軍と企業が行った元徴用工の使い捨ての奴隷労働と同じ構図なのだ。

 グローバル資本が欲しがっているのは低賃金・無権利状態の労働力である。だから外国人労働者を「移民」とは認めないのだ。人間をモノ扱いする入管難民法「改正」案を断じて成立させてはならない。

戦争体験を継承しよう

 今、問われているのは差別・排外主義と戦争国家ではなく、外国人の差別構造をなくし、友好を深め平和と多民族共生社会をつくり出すことだ。そのカギは、民衆の国際連帯の闘いにある。

 12月9日から16日、韓国でサード(高高度防衛ミサイル)配備反対を闘う活動家をゲストに迎え「東アジアに平和を!武力なき平和のためのスピーキングツアー」(横浜、札幌、那覇、広島、大阪)が開催される。サードも辺野古新基地も自衛隊基地もいらない。闘いの場で座り込むハルモニ、おばあの心には悲惨な朝鮮戦争・沖縄戦争の体験が刻まれている。戦争を止める。それがいまを生きる者の責任だ。入管難民法「改正」案と重ねて元徴用工判決の意義を語ろう。安倍9条改憲NO!3000万署名、東アジア平和署名をさらに広げ、日韓民衆の連帯で平和の道を切りひらこう。

  (11月25日)
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