2018年12月07日 1554号

【原発賠償訴訟・京都原告を激励/大阪での控訴審も傍聴席満杯に/関西の原告団・支援者が一堂に】

 「控訴審での勝利を!京都原告団を激励する集い」が11月25日、大阪市内で開かれた。大阪高裁での控訴審開始(12月14日)を前に、「原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会」(以下、支援する会)と大阪、兵庫の支援者が呼びかけた。闘いの場が京都から大阪に移る。これまで以上の裁判傍聴体制をつくろうと、会場は熱気に包まれた。

   * * *

 京都地裁では、常に傍聴席を満杯にし、裁判長に公正な判断を迫ってきた。それをつくり出したのは京都訴訟3団体(原告団、弁護団、支援する会)の結束だ。

 原告団共同代表の福島敦子さんは、「地裁の第一回口頭弁論で、私たち一人ひとりの命と裁判官の命で向き合ってくださいと訴えた。原告はそれぞれ、傷つき涙を流し、歯を食いしばり耐え、日々を必死に生き、国と東電に責任を認めさせるため今日まで闘ってきた」と振り返り、「原告が勝訴するその時を見届けてほしい」と訴えた。川中弁護団長、橋本支援する会共同代表も勝利するためにより広い支援が必要と声を揃えた。

 原告の川崎さんが吹く篠笛の調べをBGMに、原告団共同代表の堀江みゆきさんは「京都訴訟のあゆみ」(スライド48枚)を報告。特に、地裁判決後「りゅうたん会」と命名した原告団交流会の開催や、愛知岐阜訴訟(名古屋地裁)、九州訴訟(福岡地裁)など各地訴訟の応援、控訴審にむけた学習講演会の取り組みが、京都だけの闘いではないことを印象づけた。

 控訴審の争点は何か。田辺弁護団事務局長は「国は規制権限、予見可能性がないと主張してきたが、今は結果回避可能性に重点を置き、精力的に責任論を補充しており、予断を許さない状況だ」と国の対応が変化してきていることを指摘した。「(1)国の有責性を維持し、(2)避難の相当性の判断を広げさせ、(3)損害額を妥当な水準とさせることが必要」と力を込めた。

 京都訴訟は区域外避難者が主体となっている。それだけに、被害の存在を社会的に知らせるにはより広い市民の支援が不可欠だ。原告の訴えは支援者との共同の闘いであることを実感させた。

ここに来て良かった

 「京都に来て支援者の方々に出会って救われた。原発という共通の問題で、私たちがみなさんの代表として勝たないといけない」(井原さん)

 「地裁ではまったく何も認められず落ち込んだが、今日ここに来て良かった。『頑張っていかなきゃ』という気持ちになった」(河本さん)

 「国が安全だという空気を作っている中で避難するのは勇気が要る。原発事故をなかったことにしようという流れがあり、みんな考えることをやめてしまう。こういう取り組みを広げて大きな力にしていきたい」(小山さん)

 「当時は8割が避難したいと思っていたし、いまでも避難したいと思っている人がいる。原告というドラマの主人公≠ノなって、いろんな人と出会い、不安が大きな力に変わった」(高木さん)

 「一番上の娘は地裁で棄却され、連れて来なければ良かったのかと後悔したが、やはりあきらめないことが大事。すべての原告が笑えるよう、勝利をめざしたい」(堀江さん)

 避難生活の苦労の上に、裁判を闘う辛さ。会場から激励の拍手が大きく湧き起った。

みんなで闘う陣形を

 大阪、兵庫の支援者が次々と支援・激励の言葉を述べる。

 原発賠償関西訴訟の森松さんは「今日は6名で応援にきた。同じ日に提訴し同じ思いで一緒に歩んできた。避難の権利を認めさせるために大阪高裁と地裁でともに闘う」。子ども脱被曝裁判を支援している水戸さんは「核被害は許さないと闘っている姿に感動している。最後の一人が満足するまで支えていきたい」。平和と民主主義をめざす全国交歓会の山川さんは、「国は被害の事実を認めず消そうとする。原告の闘いは、人間としての権利を回復する闘いであり、みんなで闘う陣形を作り最後まで闘う」と決意を表明した。発言者は総勢10名。支援の広がりを感じさせる。

 最後に原告団共同代表の萩原ゆきみさんがあいさつ。「被害者は理不尽な扱いに苦しんできた。何度もくじけそうになりながらも、みなさんに励まされ、元気をもらってあきらめずに闘ってきた。様々な事情を越えて高裁でも闘っていくのでこれまで以上のご支援を」

  + + + + +

控訴審(大阪高裁)の日程

・第1回口頭弁論期日
 12月14日(金)午前10時30分開廷

・第2回口頭弁論期日
 3月13日(水)午前11時開廷
 支援する会は、抽選や手荷物検査があり、開廷1時間前の集合を呼びかけている。



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS